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美容鍼灸 中野真由美先生コラム No2 春を健やかに過ごすために…

春を健やかに過ごすために…

初回のコラムでは東洋医学の入門編として、基本となる気血津液、五行・五臓について述べましたが、今回からは季節の変化に応じた健康や美容のケアについて、東洋医学の視点からお話していきたいと思います。第二回目は、春の健やかな過ごし方です。

春を健やかに過ごすキーワード「養陰補肝」

春三月、此謂発陳。

天地倶生、万物以栄。

夜臥早起、広歩於庭。

被髪緩形以使志生・・・

現存する中国最古の医学書、黄帝内経では春の過ごし方を、このように記されています。最初の行の「発陳」の陳は古いものを表しており、新陳代謝という言葉も同じイメージでご理解頂けますよね。

黄帝内径の漢文を分かりやすく解読しますと

  • 春の三ヶ月は古いものから新しいものが芽生え
  • 天地にある全ての生命が生き生きと栄える。
  • 夜は夜更かしもそこそこに就寝し、朝は早く起きる。
  • 髪もきつく縛らず・緩くほぐして、庭を散歩し、身体を伸びやかに動かしましょう。
  • 叱るより褒めてやれ・・・

と続きます。

「これに逆らえば、肝を傷め、夏に身体が冷えて病気にかかりやすく、健康で長生き出来ないですよ。」という教えです。

東洋医学で春の健康のケアを一言で表すと「養陰補肝」となります。春は肝機能を高め、陰を養うと良いという意味です。春は五蔵の「肝」が大きな役割を担います。陽気が高まり、血流も良くなってきますと、肝臓の働きが活発になり、上へ、外へと気の流れが活発になります。春になるとお外に出かけたり、お花見に行きたくなったり、活動的になるのはそのせいです。

一方で寒い冬から暖かい春への季節の変わり目は、活発な気(エネルギー)に、体がうまく順応出来ない時期でもあります。その結果、イライラ怒り過ぎたりすると、肝を消耗して額に吹き出物が出来たり、頭痛、鼻づまり、めまい、耳鳴り、目のかすみ、充血、不眠等、様々な症状を引き起こします。

ここで少し前回のコラムを思い出してください。東洋医学の基本に五行・五臓の思想があることをお話しました。肝は五行説では木・火・土・金・水の「木」に当たり、季節はずばり春、色は「青」、味は「酸」とされています。春の健やかな過ごし方には、青や酸の要素が盛り込まれていますので、頭の片隅に留めて読み進めていただければ幸いです。

また五蔵の肝は感情に係わります。「怒」すなわち怒ると肝が消耗しますので、春は気楽に前向きに…ケセラセラ(なるようになる)と意識しておおらかな心で過ごしましょう。一年の内で、春は一番、心身の不調が出やすい時期です。この時期をスムースに乗りきっていただくためにも今回のコラムを参考にしてくださればと思います。

「養陰補肝」の食生活

春への変化に体調を順応させるには、体内の気の流れを良くする食材を摂ることが大切です。旬の食材には季節の体のケアに必要な成分が含まれていますので、春が旬の食材を召し上がっていただくと、自ずと「養陰補肝」につながります。

「肝」の観点からの青い食材には、ニラ、ブロッコリー、春キャベツ、小松菜、春菊等があり、これらは造血作用や血の巡りを良くして全身に栄養を供給することを助け、精神安定を保つ働きもします。

それでは春の薬膳にも活用される食材と補うべき五味について、項目別に述べていきます。

肝機能のケア

肝臓の働きを良くし、助ける食材には、シジミ、アサリの貝類、セリ、ニラ、セロリ、豚肉、イチゴ、レモン等があります。さらに春が旬の苦味の山菜、タラの芽、ワラビ、フキノトウ等が挙げられます。

肝機能をケアする五味は酸味です。代表的なものに酢があります。酢は血行を良くしてくれるのですが、そのまま飲むには酸がきつく胃粘膜が刺激を受けます。三杯酢のように甘味でマイルドにして用いると、体に優しいのでお勧めです。

以上、肝機能を補う食材を羅列しましたが、主となる貝類や豚肉、野菜を、酢やレモン等の酸味の調味料と合わせ、春の献立にしましょう。お好みの組み合わせを考えていただければと思います。

新陳代謝を良くする旬の苦味の山菜

春キャベツ、ウド、フキノトウ、菜の花、ワラビ、タラの芽等の苦味のある山菜類は、一般的にビタミンCが多く含まれており、新陳代謝を促し、活性酸素を除去しデトックスにつながりますので、特にこの時期は積極的に摂ってください。

必要な五味である酸味を補うには、上述しました三杯酢以外に、酢や砂糖と味噌を合わせて用いる「ぬた和え」が代表的なレシピです。

粘膜に潤いを与え、喉に良い食材

春先は空気が乾燥し、花粉等で大気も汚れてくるので喉がやられます。そこで粘膜に潤いを与える食材を摂るようにします。代表的なものに大根、蓮根、ハチミツ、シソ等がありますが、根菜類の調理の際、甘味にハチミツを用いるのもよいでしょう。シソは美しい青(緑)なので、お料理の彩りに使いましょう。

お通じに良い食材

春は代謝が上手くできず便秘になりがちな季節です。スムーズなお通じのためにヨーグルト、ゴマ、リンゴ、ハブ茶、松の実等を摂るようにしましょう。

梅やミカンなどの柑橘系(金柑も良いです)の果物もお勧めです。酸味には血液浄化作用、筋肉を引き締める作用があり、寝汗、下痢、頻尿に有効がありますが、食べ過ぎると胃腸を弱めますので、体質的に胃腸が弱い方は、ほどほどを心がけてください。

ここで体を温める食材と冷やす食材について述べておきます。前述しましたように、春は五味では酸味が必要です。酸っぱいものは体を冷やすと思われている方も多いと察しますが、一概には言えません。酸味の中でもミカン、梅、柚子、桃等は身体を温める食品です。

春によく食べる食材で体を温めるものには、鰆、玉ネギ、シシトウ、フキノトウ、ニラ、ウド、ラッキョウがあります。一方の涼の食材には、アサリ、シジミの貝類、セロリ、タケノコ、イチゴがあります。また、スモモ、レモン、リンゴは平性と言い、体を冷やすことも温めることも、どちらでもない食材です。

女性は虚の体質の方が多いですが、思い当たる方は体を温める食材を意識して召し上がっていただければと思います。

春に起こりやすい症状をケアするツボ

東洋医学では、「肝」には新陳代謝、情緒の安定、さまざまな器官の調節、胆汁の分泌等の機能があると考えられています。中枢神経系・自律神経系・循環器系などの作用も併せ持ち、肝の機能が低下すると不眠やイライラなどの症状が現れます。 前章では、これらの症状をケアする食材や調理方法について述べましたが、次に具体的な症状の対処方法として、鍼灸のツボをご紹介します。

かすみ目、疲れ目

「肝」は、目と特に密接な関係があるため、視力低下や眼性疲労には肝の不調が考えられます。そのため、春は目の疲れ、充血、視力低下等の症状が現れやすいです。

攢竹(さんちく):眉毛の頭の方の内側のくぼみです。血流を良くし、目の疲れや痛みに効果的です。

晴明(せいめい):目の左右のくぼみ、鼻の付け根の横にあります。目を潤し視力を回復します 。目の充血、眼精疲労にも良いです。※余談になりますが、クール系の目薬のCMで指で押さえるあたりが晴明のツボです。

四白(しはく):瞳の中央から親指一本分真下にあるくぼみにあります。女性が気になる目の下のクマ、くすみをはじめ、シミ、シワ、美白にも良いです。

瞳子髎(どうしりょう):目尻の指幅1本分外側にあります。こちらは目の様々な症状を和らげます。

太陽(たいよう):こめかみ辺りのくぼみにあります。疲れ目に効きスッキリとします。

クコの実は目の疲れに良い薬膳食材です。ドライのクコの実をおやつがわりに食べたり、ナツメとクコの実を煎じてお砂糖と生姜を入れたお茶は、子宮にも良い飲み物になりますので、女性にお勧めです。

花粉症

2月の下旬頃から杉花粉の飛散が始まり、3月下旬から4月にはヒノキの花粉も飛び始めます。花粉症は植物の花粉に対して、過剰な免疫反応を示すアレルギー症状で、日本人ではすでに4人に1人が花粉症だと言われています。要因は花粉や大気汚染等、外からの邪気によるものと、内因(五臓六腑や気血の巡りの不調)による抵抗力不足等が考えられます。花粉症は同じ環境下にありながらも発症する人としない人があり、それは内因による抵抗力の差と関係しています。

今、現在は花粉症でなくても、ある日突然に症状を発するケースもありますので、花粉症の方も、そうでない方も、春先は身体(特に下肢)を温め、腹部を冷やさないように気をつけてください。

迎香(げいこう):鼻の両脇、小鼻のすぐ横にあります。鼻づまり、鼻水に効きます。

上迎香(じょうげいこう):迎香のやや上に位置し、鼻に沿ったツボです。

※迎香、上迎香の二箇所のツボは鼻づまりをやわらげます。

攢竹(さんちく):上述しました目の疲れをとるツボですが、鼻の通りも良くします。

花粉症の原因は様々で、肩コリやストレスにもおよびますので、併せてお勧めのツボも紹介しておきます。

手三里(てさんり):肘に出来るシワの外側から親指に向かって5㎝ほどにあります。押すとくぼみがあります。こちらは肩こりに効果的です。

神門(しんもん):手首の内側、小指の下の位置と重なる筋の内側にあり、ストレスに効果的と言われています。

上記にご紹介しましたツボは市販されています東洋医学の入門書やネット等にも掲載されていますので、ご自身で確認され、症状に応じて指圧してみてください。

指圧のコツは体の中心部に向かって優しく押すことです。触っていると自然と指が止まる場所、見えない凹みを感じる場所がツボの位置となります。ツボは押さえると何かジーンとした感覚がある場合が多いです。圧痛のある場所もツボの位置になります。表面の皮膚が傷まないように爪に気をつけて優しく押すようにしましょう。

紫外線が強くなる春にはシミ対策を!

春は紫外線が急に強くなる時期です。皆様もご存知と思いますが、シミの第一の原因は紫外線です。春はしっかりと紫外線予防をしてください。※紫外線の予防に関しては、美容皮膚科のコラム等で紹介されており、皆様もご存じと思いますので、ここでは割愛させていただきます。

シミの第二の原因は血行障害です。血液が老廃物で流れが悪くなり、濁るとシミの原因にもなります。老化で起きるシミは新陳代謝が低下するために色素沈着が起こりやすくなり生じます。もちろん肝斑は文字通り肝臓の働きと関わります。血行障害によるシミは身体の中から治さない限り、なかなか改善されません。

※鍼灸をお顔に施す私の美容鍼灸も効果的です!

血行障害によるシミの予防には良質の睡眠が大切

特に日光に当たっているわけでもないのに、目の周りや頬の上部に茶色いシミができることがあります。これは肝臓の働きが落ちて、血液の浄化が上手くいっていない時に現れます。日中、肝臓は休みなく血液を全身、脳や筋肉に送り続けています。その血液が肝臓に戻ってくるのは心身の活動が低下する夜間です。肝臓は夜間に全身から老廃物を集めてきた血液を浄化します。綺麗になった血液に、肝に蓄えられている栄養分を与え、翌日に備えます。睡眠不足や、強いストレスによって肝臓の緊張状態が続くと血液の浄化、再生が滞り、血液は綺麗にならず栄養は不足のまま、汚れた状態の血液が全身を巡ることになります。

血液を綺麗にするためには質の高い睡眠をとることが何より大切です。睡眠の質は時間ではありません。ただ長く寝れば良い訳ではないのです。いくら寝ても疲れが取れない…そのような方は眠りにつくのが深夜だったり朝遅くまで寝ていたりと、不規則で自然のリズムに反した睡眠をとっていませんか?思い当たる方も多いと思います。私たちが実感する以上に、人間は自然のリズムに影響を受けて生きていますので、自然の理にかなわない睡眠では知らず知らずのうちに疲労を蓄積させているのです。理想の就寝タイムは22時ですが、遅くとも24時には眠りにつくようにしましょう。これだけでもお肌の状態はかなり良くなるはずです。

質の良い睡眠に加えて…

肌のくすみが気になる人は、質の良い睡眠に加えて軽い運動で血行改善し、レバーやヒジキなど造血作用のある食べ物で補うと良いでしょう。お化粧前にお顔や首、肩をマッサージする事も効果的です。

また乾燥からのシワにも注意が必要です。私のサロンを訪れるお客様の中で、乾燥が気になる方は、粉っぽいメイクをされている場合が多く、ご自分でさらなる乾燥を作り出している方を見受けます。マットなお肌にメイクすると美しい陶器肌にはなりますが、春の埃っぽい時期には、しっとりとした仕上がりのメイクを心がけることも、美容法の1つとしてお勧めします。

シミの無い美しいお肌を目指すためにも、質の良い睡眠が取れるツボのお話をしておきます。

安眠(あんみん):耳の後ろ、下に向かって尖っている骨より指1本分下にあります。

失眠(しつみん): 足の裏、踵の中央にあります。

神門(しんもん): 手首のしわの小指側、丸い骨の下のくぼみです。ストレスに効果的なツボですが、不眠とストレスは関係していますので、眠りにも良いです。

以上、春の健やかな過ごし方についてお話しました。食材、食事の味付け、春に多い症状をケアするツボ等、多岐に渡りましたが、何か1つでも納得して取り組んでくだされば嬉しいです。そのことで今年の春は、以前よりも快く過ごしていただけると思います。

実は、毎年夏バテをしてしまう方は、夏に向けて春を過ごす事が大切なのです。肝を補い、気を全身に巡らせることが出来れば、夏も元気に乗りきれるでしょう。もちろん夏の過ごし方がその先の秋の体調を左右する事は言わずもがなですが…その内容についてはまた夏のコラムで書くことに致します。

「美容鍼まゆみん」中野真由美

神戸松蔭女子学院大学卒業後、スパを運営する会社に就職.

23歳でマッサージ学院を立ち上げ 、森之宮医療学園鍼灸科に入学.

鍼灸師国家試験を取得した後、病院やスパ施設で勤務.

世界中のスパ施設を視察し、ヘルス&ビューティーの造詣を深め、

独自の鍼灸を開発.プライベートな美と癒しサロンには モデル等の著名人も多く来館.