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出産後の肌の変化について

出産後の肌の変化について

女性の肌はホルモンの働きが関係しますので、妊娠時に続き出産後にも変化が起こることがあります。症状には一時的なものもあれば、長引くものもありますが、健康や美容には精神面が影響する場合も多いので、気になることがあれば、皮膚科のクリニックを受診されることをお勧めします。

ストレスは育児の最大の敵です。ご本人は言うまでもなく、赤ちゃんにもよくありません。

今回は子育て中のお母様に役立てていただきたい、肌のトラブルに関する情報やスキンケアについてお話します。


【妊娠中にできたシミは出産すると消えるのか】

妊娠中に出来るシミに肝斑があります。両頬部や額、口囲等に左右対称にできる淡い褐色斑です。出産後3ヶ月程度で改善する場合もありますが、出産後も性周期や紫外線の影響で、良くなったり悪くなったりを繰り返す方も多いです。

肝斑にはホルモンが係わっています。妊娠中は母体や胎児を守る為に、通常より多くの女性ホルモンが分泌されますが、出産後はそれが元の状態に戻るため、このような症状が出てくるのです。

出産後に雀卵斑(そばかす)が目立つようになる方もいます。そばかすは先天性のものと後天性のものがありますが、先天性のそばかすは、通常は成人になるつれ、だんだんと治っていきます。一方、後天性のものは出産後に現れたり、色が濃くなったりすることがありますが、こちらは紫外線の影響で出来るものですのでホルモンとは関係ありません。

出産後、化粧水、クリーム等で日々のお手入れをしていますと、肌の状態も元通りに落ち着いてくるはずです。

ネット上では妊娠中にできたシミは出産後には消える…と書かれたサイトもありますが、肝斑以外の紫外線等によるシミは消えませんので、この手の情報を鵜呑みにすることは禁物です。

なかなかシミが改善されない方には、次に紹介する治療方法がありますので、美容皮膚科の専門医に相談されることをお勧めします。

 

【妊娠中に出来たシミが消えない場合のケア】

出産してもなかなか消えないシミが気になる方には、Qスイッチレーザー、トレチノイン/ハイドロキノン併用療法、IPL等の治療方法があります。専門医のアドバイスを受け、自分の納得できる方法で治療されるとよいでしょう。

下記に代表的な治療方法を紹介しておきますので、参考にしてください。

 

  • Qスイッチレーザーによる治療

黒色に反応するQスイッチレーザーを用いる方法です。

このレーザーを当てることによりシミの部分に強い炎症を起こさせ、かさぶたにします。施術を受けた部位は1~3週間程度ガーゼやテープを貼る必要があります。かさぶたが取れた直後は薄いピンク色の肌になりますが、その後1ヶ月をピークにシミに似た炎症後の色素沈着がおきます。強く出た場合は元のシミの色より濃くなる場合もありますが、半年程かけて徐々に薄くなりますで、ハイドロキノンという美白剤等を使いながら様子をみていきます。

 

  • トレチノイン/ハイドロキノン併用治療

トレチノインとハイドロキノンの2種類の塗り薬をシミの部分に塗り、徐々に薄くさせる方法です。トレチノインは個人差がありますが、かぶれたり、乾燥症状が出ることがあります。かぶれや乾燥が酷い場合は中止して、ハイドロキノンのみの治療になります。2種の薬を併用することに比べ時間はかかりますが、ハイドロキノンだけでもシミは薄くなりますので、症状が改善するまで塗っていただきます。

これら塗り薬の治療は実感を覚えるまで時間もかかりますがQスイッチレーザーの治療のようにダウンタイム(治療を受けた患部にガーゼやテープを貼らねばならない期間)が、気になる方にはお勧めできます。

  • IPL治療

別名・フォトフラッシュと言われる光治療です。全体的に色々な波長の光をあてる治療でシミ、シワ、赤ら顔など年齢肌の悩みを改善する効果が期待されています。シミの部分に消しゴムのカスのような薄いかさぶたができ、それか取れるとともにシミが薄くなります。シミを取るというよりは薄くさせるという治療です。

同治療はシミが薄くなりお化粧で隠れるようになるまで3~5回繰り返し行います。・実感できるまでに数回かかること・取りきれないシミが残ることもありますが、テープ保護等の必要がなく、色素沈着も起こしにくいという利点があります。

 

【出産後の女性に多い肝斑と雀卵斑のケア】

肝斑の治療は正直、はっきりと確立されていないのが現状です。

肝斑は強いレーザーをあてる治療はすべきではありません。炎症を起こすと却って濃くなります。お勧めできる治療にはトラネキサム酸内服やイオン導入、トーニングと言われる弱いレーザー治療等があります。

肝斑の原因の一つには刺激も考えられます。ですから強く美顔器をあてたり、自己流のマッサージなどで、肌に過度な刺激を与えることは避けてください。思い当たる方は普段のスキンケアの見直しが必要です。肝斑は紫外線やホルモンバランス、ストレスなどで、慢性的に、軽快増悪を繰り返します。症状の改善のためにも、強い刺激と紫外線、この2つの悪化要因は避けるように心がけましょう。

頬部を中止に小さなシミが散発する雀卵斑(そばかす)には、上述しましたIPLが効果的です。たくさんある小さなシミを均一に薄くさせることで、お化粧によるカバーが可能になります。

肝斑や雀卵斑は紫外線が強くなる夏に悪化を繰り返す傾向にありますが、年齢と共に徐々に改善されていくはずです。

【子育て中のスキンケア】

  • 紫外線ケア

皆様もご存知と思いますが、光老化の言葉もありますように肌の一番の敵は紫外線です。子育て中のお母様はお子さんが大きくなると外で遊ぶようになり、紫外線を浴びる機会が増えてきますので要注意です。

紫外線は肌の抗酸化力を弱めメラニンの生成を活発にさせてシミを誘発します。若いから大丈夫…の過信は禁物です。現在は問題なくても数年後、あるいはもっと先に、顔や手背などに斑状のシミができる原因になります。さらには肝斑が遷延する原因にもなります。雀卵斑(そばかす)も紫外線の影響で悪化します。

お子さまに気をとられスキンケアが怠りがちになるのは分かりますが、外出する場合はシミの予防のためにも・帽子をかぶる・日焼け止めを塗る等の紫外線対策をするようにしましょう。日焼け止めは推奨通りの量を塗り、汗等で落ちたらこまめに塗り直すことが大切です。日焼け止めには紫外線吸収剤のものと、紫外線拡散剤のものがありますが、肌の弱い方は比較的肌に優しい紫外線吸収剤が入っていないタイプを選ぶと良いでしょう。最近は紫外線吸収剤の日焼け止めでも肌に負担をかけないものもありますので、ご自身に合ったものを見つけて使ってください。

 

ただ、ここに1つ落とし穴があります。紫外線はカルシウムの吸収を促進させるビタミンDを生成する作用があります。カルシウムが不足すると骨がうまく形成されず骨粗鬆症の原因になります。特に授乳中は母乳にカルシウムが移行し、母体はカルシウム不足の状態になりますので、過度に日光を避けるとビタミンDが不足しさらにカルシウム不足となってしまう恐れがあります。

 

食事にはカルシウムを多く含む乳製品や小松菜、小魚、納豆、豆腐とともに、ビタミンDが豊富なサケ、サンマ、いわしなどの魚類やキノコなどを意識的に摂るとよいでしょう。

 

  • 保湿ケア

肌荒れ等の乾燥は、くすみやニキビの原因になります。乾燥肌にならないためにも有効な保湿成分が含まれた基礎化粧を選びましょう。また食事にも抗酸化作用のあるビタミンC(ブロッコリー、ピーマン、じゃがいも等)やビタミンE(アボカド、オリーブ油、ナッツ類)、βカロテン(ニンジン、カボチャ等の緑黄色野菜)等を多く摂るようにして、体の内からのケアにも努めましょう。

 

【シミ以外に生じやすい出産後の肌トラブル】

  • 乳頭のトラブルと抜け毛

出産後は授乳に伴い乳頭のトラブルが起こることが多いです。乳頭に水ぶくれが出来たり、授乳中に痛みがある方は、産婦人科の先生に相談しましょう。症状がひどい場合は、お子さんの口に入っても問題のない安全な成分の保湿剤等を処方してもらってください。母子ともに授乳に慣れてきますと、そのようなトラブルも無くなってくるはずです。

さらには出産後の4~20週ころに多量の抜け毛を認めることが多いです。妊娠中はホルモンの影響で毛が抜けにくくなり多毛状態であったものが、出産後にホルモンが急激に減り、毛の生えるサイクルが止まってしまうことが原因です。ただ抜け毛は出産後2~5ヶ月で次第に回復してきますので心配しなくて大丈夫です。

  • 手洗い、洗濯による手荒れ

お子様を育てることで、手洗い、洗濯が劇的に増えて手荒れの頻度が高くなります。

こまめにハンドクリームを塗るように心がけましょう。洗濯や食器洗い等にはゴム手袋を着用すると予防になります。

かゆみや亀裂で痛み等があれば皮膚科を受診してください。ひどい場合はステロイドを使用することになりますが、よほどベタベタと塗った手でない限りお子さんを触っても問題ありません。また体内に吸収される量もごくわずかですので授乳にも差支えありません。

 

以上、出産後のお母様にありがちな、お肌のトラブルと対応の方法について述べました。女性である限り、誰もが育児中であっても「綺麗なママ」でいたい気持ちはあると思います。そのためには日々のお手入れが大切です。ちょっとした心がけで将来の肌の老化を防ぐことが出来ますので、お子様にとともに、ご自身も大切にすることを忘れないようにしていただければと思います。

 


~皮膚科医師 白木 美保~

西奈良メディカルクリニック メディカルフィットネス登美ヶ丘勤務
http://www.nishinara-med.com/staff.html

皮膚の事は何でもお聞きください。
皮膚がより健康な状態で年齢を重ねていけるようにお手伝い致します。
美容に関するご相談も、お気軽にどうぞ。
同じ子育て中の身ですので、お子様の皮膚トラブルやスキンケアなど細かな事でもご相談して下さい。

■経歴
関西医科大学卒
関西医科大学皮膚科入局
関西医科大学滝井病院 皮膚科
関西医科大学枚方病院 皮膚科
H26~現職(医療法人悠明会)

■担当
・皮膚科の診療
・日本皮膚科学会皮膚科専門医
・日本美容皮膚科学会
・日本小児皮膚科学会

 

 

2018.04.22 column