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美容鍼灸 中野真由美先生コラムNo1  東洋医学とは…

皆様が普段、病気になり診てもらわれるお医者様は多分ほとんどが、西洋医学の先生ではないでしょうか。

 

今の日本では医者と言えば西洋医学の先生になりますが、西洋の医学が日本に本格的に伝わったのは明治維新以後で、それまでは中国から伝わった東洋の医学が主流でした。

中国数千年の歴史…よく聞く言葉ですね。この歴史に育まれ伝承されたものが東洋医学で、世界にも広がっています。長い年月を経て受け継がれ、多くの方が治療を受けているものには必ずや真実がそこにあると考えられます。

 

皆様も漠然と東洋医学についてお知りでしょうが、本質をご存知の方は案外少ないと察します。今回のコラムでは入門編としまして、東洋医学の基本となる考え方についてお話させていただきます。

 

東洋医学を語るキーワードには、先天の精、後天の精、気・血・津液、五行等があります。これらを元に東洋医学の概念、強いてはご自身の体の状態について、学んでいただくヒントになればと望んでおります。

 

先天の精と後天の精

皆様の周囲には様々な体質の方がおられますよね。よく持って生まれた「体質」と言いますが、人は皆、両親の体質を受け継いで生まれてきます。西洋医学ではこれを遺伝と言い、東洋医学では遺伝とは少しニュアンスが違いますが「先天の精」と言います。先天の精は「生命の素」であり、人体を構成して成長の過程で基礎となるものです。先天の精で一番に影響を受けるのは五臓(肝、心、牌、肺、腎)の腎とされています。五臓とは(後で述べますが)、精気を蓄積しておく臓器のことです。両親から受け継いだ先天の精は腎に保存され、成長に大きく係わっていくことになります。この精が「気」に変化すると原気となり、活動の源となります。※「気」についても後に述べます。

一方の「後天の精」は生まれてから後に作られるもので、鼻と口からの呼吸や食物で得られるものを言います。肺の呼吸で得た気は活力を全身に巡らせる元になり、口から得た食物は脾胃(東洋医学で胃腸を指す言葉)が補給して活力の基礎として働く、血や水(津液)の元となります。

正しい呼吸と食事で、人は健やかに過ごすことができます。若い人や、年を重ねても呼吸や食事がしっかり出来ている人は「精」、つまり生命力があり気も充実しています。免疫力が高く、病気になりにくく、病になっても早くに治ります。反対に精が足りない人は呼吸や食事に問題がある場合が多く、生命力が弱まり、臓器や器官が衰弱してきます。結果、低体温、冷え症等で抵抗力がなくなり、病気になりやすくなってしまいます。

一般に高齢になると精が足りなくなってきますが、若くても過労で精が不足している人も多いです。精を充実させるには精神的な不安を取り除き、気の巡りを良くする必要があります。適度の運動、深くて長い正しい呼吸、バランスの整った食事が大切になります。

気・血・津液(しんえき)

東洋医学でよく耳にする言葉に「気」があります。気とは目に見えないもので簡単には説明しにくいのですが…例えば元気、気力、勇気等、気のつく言葉を思い浮かべてください。生命を維持する為に必要な人体から発するエネルギーのことです。気は体全体に流れていて、すべての生命力、活動力の原動となっており、各器官、臓器を正しく動かす役目をしています。

次の「血」ですが、これは人の生命を維持するために必要な体のエネルギー、栄養、燃料になるものです。こちらは西洋医学の血液と似た観点です。

最後の「津液」は聞き慣れない言葉かもしれませんが、東洋医学上はリンパ液、骨髄液等、人体の分泌物をまとめて津液と呼びます。体内の水分を総称したものです。「津液」の源は飲食物で、胃腸で水様物が分離されて作られます。体の乾きを潤し、関節の動きをスムースにする働きをします。

私達の体は口から飲食物で栄養を取り、「気」の作用により血管から「血」が全身に渡り循環して体の組織を支えますが、それらの組織の働きを促すのが「津液」なのです。

気が足りない人は元気がなく、血がきちんと全身に巡らないため内臓の調子も悪くなります。津液が足りないと喉や鼻、口が渇き、自ずと肌や髪も乾燥してきます。お肌の調子が悪く実年齢より老けて見える方は気・血・津液の何かが足りていない人でしょう。

医食同源は皆様もご存知と思いますが、東洋医学では「津血同源」という言葉もあり津液が不足すれば血も消耗され、血を補えば津液も補充できる…と言われています。気・血・津液が正常であれば心身ともに健康で美しくあれるということです。

五行と五臓

 人の体は自然を体現する一つの宇宙に例えられます。古代の人々は自然の全ての現象を、長い生活上の経験から【木、火、土、金、水】の5つの性質に分けて、それらの相互関係を理解していました。

この考え方を五行と言い、【陰陽五行】学説として現在の東洋医学の理論の中核となっています。

「五行」の考え方に当てはめられたものが人体の【五臓】です。体の内臓を現し、「貯蔵する」と言う意味もあります。【肝、心、牌、肺、腎】は五臓といわれ、精気を貯蔵しておく場所とされています。

☆ここまでは東洋医学の基礎となる理論を簡単にお話しました。次にご自身の体質を知るためのヒントを気・血・津液をテーマにお話します。

「気」からくる症状

人の誕生から発育・成長、血、津液の生成と運航、各臓腑の働きは、全て気によって動かされていると言っても過言ではありません。気の変調は大きく・気の不足・気の停滞・気の失調に分けられます。

気が不足することを「気虚」と言いますが、生成不足と消耗過多による気のエネルギー不足の意味です。精神的な倦怠感、無力感、息切れ、食欲不振、風邪をひきやすい等の症状が現れます。

気の停滞は「気滞」と言い、字のごとく気の運航が滞っている状態を示します。分かりやすい症状としては精神的なストレスによる不安、イライラ、躁鬱感があり、気の巡りが悪いと片頭痛等の症状が起こることがあります。

気の失調の代表的な症状には「気逆」があります。本来、気は上から下へ一定の方向に流れるものですが、それが逆になってしまう状態です。代表的な症状に、のぼせや嘔吐等があります。女性の更年期に見られるホットフラッシュも原因の一つに気逆があります。

気から来る症状、病気の原因は先天の精(生まれ持った元気)が不足している場合以外は、ほとんどが飲食や睡眠等の生活習慣から発するものです。西洋医学では生活習慣病をよく言いますが、東洋医学でも病気の原因は生活習慣に端を発するものが多いです。加えて喜怒哀楽の情緒の乱れも係わってきます。西洋医学では、よくストレスが病気の原因とされますが、それに似通ったものがあります。

「血」からくる症状

東洋医学では血の過不足と循環は、営気(栄養とお考えください)と津液が関係しているとされています。血の生成不足と消耗過多による血の不足(血虚)と、循環の障害による失調が体調不良や病に繋がります。

全身の血が不足しますと、血の栄養と滋潤作用により機能している臓腑、器官に影響が現れます。主な症状として、不眠、立ち眩み、唇の色が淡白になる等、がありますが、これらは多くの女性に当てはまると思います。

美容的には乾燥肌で肌荒れがしやすく、年の割にシワが多かったりします。月経の量の少なさ、一時的な閉経等、月経不順の方も血虚の方に多いです。中国の言い伝えでは「髪は血余なり」とされ、血虚の方は薄毛や抜け毛が多いとされています。

血の循環に大きく係わる臓器は心拍により血を送りだす心臓、呼吸により全身へ血を輸送する肺があり、他に肝臓や脾臓も血に係わります。血が熱くなり血行が加速されると発熱や口が渇く、便秘等の症状が現れ、反対に血が冷えて巡りが失調すると手足の冷え等になります。これら血に係わる病気の原因にも食生活以外に生活習慣の不節制が挙げられます。

津液からくる症状

津液も血と同様に不足や循環・代謝の乱れで体に変調をもたらします。

津液の不足は生成不足、発散や排泄の過多から起こりますが、その結果、喉、鼻腔が渇き、尿の量の減少や便秘等になります。髪や肌に艶が無い人は津液が不足している場合が多く、五蔵の腎の影響を受けて、これらの症状が起こります。反対に津液が多かったりバランスが崩れたりすると、むくみや過剰な汗等も引き起こします。津液の循環・代謝の不調は肺・腎・脾臓・膀胱・三焦(リンパ)等の臓器が関係します。

☆上述で、気・血・津液についてお話しましたが、少しは分かっていただけましたか?

次は五臓についてお話します。

 

【肝、心、牌、肺、腎】の五臓と病の関係

) 肝は肝臓を思い浮かべやすいですが、別の言葉に置き換えれば「きも」です。よく「きもが座っている」 と言いますが、肝が丈夫な人はイライラしたり怒ったりすることなく、嫌なことを受け流すことができます。つまり気をスムースに巡らせたり、発散させたりする役割が肝にあるのです。肝の症状としては顔に青筋が出ていたり、鼻の頭が赤かったり、また目の周りにシミが出たりします。※女性の肝斑も肝と関係していると言われています。

主な症状:食欲にムラがある・便秘と下痢を繰り返す・肩コリやこむら返り等

処方:食事には緑黄色野菜を摂ることがお勧めです。肝が回復して血が再生されるのは睡眠中なので、なるべく夜は12時頃までに就寝して質の良い睡眠を取るように努めましょう。怒りや緊張は肝に悪影響を与えるので深呼吸で気を沈めることもお勧めです。

) 西洋医学では心=心臓になると思いますが、東洋医学の心はもう少し広い意味を持ち、気持ちや感情を司る脳にも関係してきます。心を病むと精神と血の循環に異常が現れやすくなります。心は顔と舌とも生理的関係があるため、これらにも異常が現れやすいと言われています。

主な症状:頬が赤くほてる・動悸・息切れ・寝つきが悪い・手足がむくむ等

処方: 人参、トマト、イチゴ等の赤い食べ物が良く、軽い運動が効果的です。

) 脾は消化、吸収を司ります。また血管の中に血液を留めておく力も働いています。「気血生成の源」であり生きていく為の重要な役割を担っています。「おなか」を大切にする事は健康への第一歩です。昨今、美食文化に浸っている日本人は「おなか」を酷使する傾向にあるようです。消化吸収の作業には結構、エネルギーを使いますので、疲れ過ぎると食欲が落ちてきます。脾の力が落ちると食欲減退と同時に、唇のトラブル、口内が苦い等の不快感があったり、内出血をしやすかったり、終わりにくい月経などの症状が出ます。恋煩いで食べ物が喉を通らないのも脾の症状です。

主な症状:肌に症状が出やすく・吹き出物や湿疹・口内炎等がります。

処方:食事には、南瓜やさつまいも、みかん等の黄色の食べ物が良いとされます。しっかりと噛んで、ゆっくりと食べると症状が改善されます。

) 肺は呼吸を司る臓器です。呼吸は・イライラすると浅くなる・深呼吸すると落ち着く等、気の巡りと大きく関係します。憂う…つまり悲しみ過ぎると肺を犯すとも言われており、余談になりますがオペラ「椿姫」は正にそのイメージです!

東洋医学では鼻、口からの呼吸だけでなく、皮膚呼吸にも関係しているとされています。あらゆるウィルスは鼻や口そして皮膚等から入る訳ですから、肺は防衛力の臓器とも言えます。肺が弱い方は顔色が白く血の気の少ない印象があります。

主な症状:耳鼻咽喉が弱く、じんましんや湿疹が出やすい・アレルギー・ぜんそく等

処方:肺の弱い人に良い食べ物は、大根、じゃがいも、玉ネギ、白ゴマ、白きくらげ等、白いものが良いと言われています。肺を丈夫にするには新鮮な空気をたっぷりと呼吸することが大切なので、都市に住む人は、たまには山や森林に出かけて澄んだ空気を吸う機会を持ちましょう。特に秋から冬にかけての乾燥しやすい季節は肺には良くありませんので、保温や加湿を心がけましょう。

) 腎は腎臓の働き・血を濾過して尿として出す・水分代謝に加えて、成長、発育、老化のエイジングに強く係わっています。先天の精の項目でお話しましたが「腎」は親から受け継いだ体質に左右される部分が多いです。さらに心配し過ぎたり、恐れたれすると腎を消耗すると言われています。

主な症状:瞼がむくむ・目の下のクマ・顔の色が黒ずみくすんでいる・若白髪・寒がりで疲労回復が遅い等

※体質的なことが大きく占める腎ですが、日々のケアで腎の気を補うことは可能です。

処方:良い食べ物としては黒くてヌルヌルしたもの、ワカメ、ヒジキの海藻類、黒ゴマ、黒豆等が挙げられます。韓国では出産の後にたっぷりのワカメスープを飲むと言われていますが、出産で精力を使った母体の気の補給に効くからです。

以上、駆け足で東洋医学の概念と人体の組織や仕組みについてお話しましたが、皆様方には体の仕組みについて「なるほど」と納得したり、「私はこのタイプ」と思われた部分もあったと思います。

東洋医学の治療は西洋医学の対処療法とは異なり、人を血・気・津液、五臓の状態から、より専門的な見方によってタイプに分け、そのカテゴリー別に治療方法を選択していきます。数値で測りにくい漠然とした不調、検査では異常がなく原因が特定しにくい不調を抱えておられる方も多いと思いますが、ご自身のタイプが分かれば、ケアの方法も見えてくるかと存じます。

今回のお話で繰り返し説明に使った言葉に気や血の巡りに係わるものがありました。東洋医学では体内での気、血、水分の循環が正常であれば、健康で過ごせるとされています。そのことは肌や髪等の美容にも大いに関係してきます。次回からは女性の体と肌や髪に焦点を当てて、美容に役立つお話をしていきたいと思います。

「美容鍼まゆみん」中野真由美 https://www.mayuminsalon.com/

神戸松蔭女子学院大学卒業後、スパを運営する会社に就職.

23歳でマッサージ学院を立ち上げ 、森之宮医療学園鍼灸科に入学.

鍼灸師国家試験を取得した後、病院やスパ施設で勤務.

世界中のスパ施設を視察し、ヘルス&ビューティーの造詣を深め、

独自の鍼灸を開発.プライベートな美と癒しサロンには モデル等の著名人も多く来館.