ブロンテ産の『エメラルド』と呼ばれるピスタチオの秘密!
ジェラートからパスタまでイタリアのすべてがシチリアのエトナ山の斜面にある。ブロンテ産の『エメラルド』と呼ばれるピスタチオの秘密!
出典 https://www.meteobronte.altervista.org
2020年12月24日のイタリアは、年末年始にかけイタリア全土で再度ロックダウンとなり、静かなクリスマス休暇を過ごすことになった。
基本的にルールを守るのが得意ではないイタリア人も素直に大人しく規則を守り、空っぽになった街中は希望を捨てずに静かに戦う人々の心の現れに見えた。
ウイルスと共存を目指す段階のイタリアではありますが、ロックダウン中であろうとも彼らは、楽しむことを忘れません。
元々イタリアには『Natale con i tuoi, Capodanno con chi vuoi!』クリスマスは家族と過ごし、正月は好きな人と過ごす!という言葉もあるくらいのお国柄。
一番大切なのは、家族と一緒に過ごすことなのでしょう。
ということで、みんなでテーブルを囲み食べて飲んで楽しい時間を過ごすのです。
とにかくイタリア人の食べることへの情熱は、どの国の人にも負けないほど強く、人と会えば『ご飯食べた?』『何を食べた?』が日常会話。
イタリアの冬の最大行事のクリスマスと新年の夜には、『CENONE』チェノーネという儀式に近い夕食会がどこのご家庭でも催されるはずです。
チェノーネというのは、夕食という意味の『CENA』チェーナに大きいものを表す接尾語『ONE』オーネをくっつけたものになり日本語で表現するならば『大晩餐会』といったところでしょうか。イタリアの夕食は、日本に比べるとやや遅めの20時頃からのスタートとなり、家族でテーブルを囲み、ただただ食べ続けるという儀式なのです。
食べて飲み、更に絶え間なくおしゃべりを続けるのだから彼らのバイタリティは、目を見張るものがあります。そんな彼らのチェノーネですから、その量はかなりのものです。
基本フルコースの順序で
*APERITIVO(アペリティーボ) 食前酒
*STUZZICHINO(ストゥッツィキーノ) 食前酒に合わせるおつまみ
*ANTIPAST(アンティパスト) 前菜
*PRIMO PIATTO(プリモ ピアット) 第一のお皿料理
*SECONDO PIATTO(セコンド ピアット) 第二のお皿料理
*FORMAGGIO(フォルマッジョ) チーズ
*DOLCE(ドルチェ) デザート
*DIGESTIVO(ディジェスティーヴォ) 食後酒
と、だいたいこんな感じで構成されています。
また、私の住むカンパーニャ州の辺りは、一皿に盛る量もかなり多いのが特徴なので、普段はお腹の具合や時間帯、曜日などを考慮して調整するのですが、チェノーネのような特別な夜には、各々がそれに向けて万全に体調を調整して行き、その姿は勇ましくも見えます。
てなわけで、冬のチェノーネの夜。完璧なコース料理の他に必ずイタリアのお家にあるのが大抵数種類のナッツを盛ったお皿です。一般的にアーモンド、クルミ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオといった感じでしょうか。
理由としては、冬の間は日照時間も短くなり、寒さから外出する気も失せたりと、冬の到来と共に私達は季節の病気にも対処していかなければなりません。そのため不足しがちな栄養やビタミンを摂取することに大変役立つということで、栄養豊富なナッツ類が旬の食材として登場するわけなのです。
そのナッツの中でも、我が家の一番人気は殻からのぞく緑色が特徴的なピスタチオ。殻をむくのが面倒という意見もありますが、そのひと手間かかる感もナッツの女王と言われる所以。
そして今年の冬、我が家の頂きもののピスタチオの美味しさに、おもわず絶句。
それは、シチリアのブロンテ産のピスタチオというものになり。。
聞けば、イタリアでピスタチオが生産されている唯一の地域の産物で、食べる『エメラルド』とも呼ばれているのだとか。これがまさに別格中の別格でありました。
■2年に一度しか収穫しない『幻』のブロンテのピスタチオ
シチリアのブロンテは、『ピスタチオの町』として知られ、活火山のエトナ山の麓にあります。この火山灰を含むミネラルたっぷりの大地で育つピスタチオは、風味豊かでその艶のある鮮やかな緑色から『緑の宝石エメラルド』とも呼ばれているのだとか。またブロンテのピスタチオは、世界に流通するピスタチオのほんの1%に過ぎないのに、値段も品質も最も高いと言われています。
殻を取った状態で1キロ当たり約16ユーロ(約2000円)の値が付き、これは生産量でトップを誇る米国産とイラン産に比べて約2倍の値段なんだとか。
元は、中東原産で9~11世紀にシチリア島を支配していたイスラム教のムーア人によってもたさられたものと言われ、今でもその頃と同じ手作業ですべて収穫をしているのだそうです。
また、ピスタチオの実は2年に一度しか実をつけないため、ブロンテでは奇数年が収穫期にあたり、今年も2021年の奇数年ということで、8月の終わりから9月の初旬頃を目安に予定されています。
収穫期の期間は、畑の横に建てられた小屋に寝泊まりするなど、天候に左右される
ピスタチオの生産を厳しいルールを設けることで、その高い品質を維持しているのだそうです。
ただ、今では、その高級な品質がアダとなり、ピスタチオの収穫期になると盗難の問題にまで悩まされるくらいの代物だとか。。これも驚きです!
ということで収穫期には、警察が町の中心地から離れたところにあるピスタチオ畑をで夜間パトロールまでしてくれるのだというのです。
出典 https://www.huffingtonpost.it
その理由としては、このピスタチオは毎年ブロンテの町に約2000万ユーロ(約24億6000万円)の収入をもたらす貴重な経済的資源なのだそうで、それは当然のことなのかもしれません。
又、毎年秋に開かれるのが『ピスタチオ祭り』。例年9月末~10月初めの週末2週間連続で開催されます。日本だと、ピスタチオは塩味のついたおつまみとしてよく目にしますが、それだけでなく、お菓子の飾りつけに使ったり、ジェラートやクリームやペーストにしたり、パスタに練りこんだりと様々な形で食されます。
この特別な素材を存分に楽しむために、ブロンテを含めたシチリア旅行!いつか私も実現したいと計画しております。
■ピスタチオの6つの利点
さてここでは、ピスタチオの効果、効能について注目して見ました。
ピスタチオは全てのナッツと同様に高カロリー(100グラムあたり約570kcal)の果実ですが、栄養特性も同様に豊富です。ピスタチオは、約2%の水、約21%のタンパク質、45%の脂肪、10%の繊維、8%の砂糖で構成されています。ピスタチオに多く含まれるミネラルは、カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、カリウム、マンガン、銅です。最も豊富なビタミンは、ビタミンB1とB6。それにビタミンA、C、E、K、ベータカロチン、ルテイン、ゼアキサンチンおよび葉酸があります。
主に6つの利点も見てみましょう。
① 悪玉コレステロールを下げる
ピスタチオは、血中の悪玉コレステロールのレベルを下げることができ、その結果心血管疾患のリスクを減らすことができます。
② 心臓を保護する働きをする
ピスタチオの摂取は、ガンマートコフェロールの存在のおかげで心臓の健康にも役立ちます。この物質は、わずかな血管拡張作用があり、毛細血管を保護し抗血栓作用もあるビタミンの一種です。
③ 抗がん剤作用
ピスタチオに含まれる抗酸化物質の含因量が高いため、ピスタチオを定期的に摂取することで癌の予防においても重要な役割を果たします。
④ 視力の保護
ピスタチオに含まれるルテイン、ゼアキサンチンは、目を保護し、視力障害の発症を防ぎ目の健康の改善にも役立つ働きをします。
⑤ 肌の保護をする
ピスタチオに含まれるビタミンEは、紫外線によるダメージから肌を守り、老化を防ぐ抗酸化物質の作用もあるのだそうで、特に乾燥肌の方に最適とのこと。
⑥ 糖尿病に対抗する作用
スペインの研究によると、ピスタチオを定期的に摂取することで、糖尿病予備軍の空腹時の血糖値を下げることができたことも証明されているのだとか。
その研究では、ピスタチオが豊富な食事(一日あたり54g)を4ヶ月間糖尿病予備軍のグループが摂取した結果、空腹時の血糖値とインスリンレベルに重要な低下が得られたものという結果でした。
ピスタチオは、漢方でも阿月渾子(あげつこんし)と呼ばれ、生薬としても古くから用いられているのだそうです。美味しいだけではなく、健康や美容に効果のあるスーパーフードであるということが、おわかりいただけたかと思います。
最後に2020年のパンデミックスは、ブロンテのピスタチオの相場にも多大な反映をもたらしたそうです。長い間、世界中のバーやレストラン、公共の場が閉鎖されたことのよって、ピスタチオの在庫が増えてしまったというのです。
ただ、前回の2019年の収穫が特に豊富でなかったことが、唯一の救いであったそうですが。又、今年の3月から秋の新収穫に向けて、現在価格修正も検討中という記事を、つい先日見つけてしまいました。
と、なかなか収まらないコロナの騒動渦中にあるイタリアではありますが、この時期だからこそ強化したい健康に注目した食事をする。
人間は、食べ物で出来ているのです。
新鮮で美味しいなら尚良し・・・と。
その季節の旬の食べ物を食べることを常に習慣にしているイタリア人の如く、
新鮮な食事は、免疫力UPのためにも沢山のメリットがあるはずです。
シチリアのブロンテ産のピスタチオ。
ちょっとお高めではありますが、小腹が空いた時にポリポリお家でやってみては
いかがでしょうか?