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お肌のアンチエイジング お肌と肝臓・腎臓の関係

梅雨が明け真夏の日差しが強くなると、お肌には過酷な時期の到来です。夏バテで疲れがたまると肝臓・腎臓の機能も弱ってきて、それがお肌の不調につながることもあります。今回は夏のお肌を美しく保つための食生活等の対策と、お肌と肝臓・腎臓の関係についてお話をします。


夏のお肌ケア

夏のお肌の敵といえば、真っ先にシミやシワの原因となる紫外線が挙げられます。紫外線対策は皆様もしっかりされていると思いますので、詳しくは述べませんが、帽子や日傘、日焼け止めでのガードは必須です。日焼け止めは年々改良され効果の持続時間も長くなっていますが、外出時には朝に塗っただけでは、やはり心配なので、お昼に一度塗りなおすようにしてください。お化粧をした上からでしたらスプレーかフェイスパウダータイプのものが良いでしょう。紫外線は室内にも差し込みますので、光老化の予防としてお化粧をされない時でも日中は日焼け止めを塗っておくことをお勧めします。

夏は他にもお肌を不調にする原因があります。それは冷房による冷えや乾燥です。冷えて乾燥した空間ではお肌のターンオーバーが乱れてくすみやゴワつきを引き起こしやすくなります。夏は冬のように表面の乾燥が目立たなくても、角層の中は乾燥していることがありますので要注意です。保湿成分の強い化粧水や美容液を用い、仕上げにはオイルやクリームでしっかりと皮膚に蓋をして水分保持に努めましょう。

夏バテによる食欲不振もお肌の不調につながります。食事の回数や品数が減ってしまうとお肌にとって必要な栄養素が不足に陥る可能性があります。また大量の汗をかくとビタミンBやC等の水溶性ビタミンやミネラルが汗とともに出てしまうので、肌トラブルを引き起こすことも考えられます。

ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える役割があり、不足すると疲れや疲労物質がたまりやすくなります。その結果、お肌の乾燥やターンオーバーの乱れを招きます。B1は豚肉やうなぎ、ナッツなどに多く含まれますので特に夏は意識して摂りましょう。ビタミンB2やB6が欠乏すると肌荒れ、湿疹、口内炎や口角炎を起こしやすくなります。B2はレバーやうなぎ、牛乳に、B6はカツオ、マグロ、レバー等に多く含まれます。土用の鰻はお肌にとっても理にかなっています!

ビタミンCは皆様もご存じのように抗酸化作用、美白作用がありますので不足すると肌荒れ、くすみ、シミの原因になってしまいます。また鉄分の吸収を促進する役割もあるため、足りないと鉄分が失われ貧血を引き起こしやすくなります。貧血になると疲れやすく、動悸、息切れの症状もみられ、乾燥肌や口内炎、爪の変形などを起こします。ですから鉄分を含むレバーや赤身のお肉とともに、ビタミンCを多く含む緑黄色野菜やイモ類などをご一緒に食べるようにしてください。鉄分が効率よく吸収され、体とお肌の調子の回復につながります。

加齢とともに体調不良がお肌に現れやすくなるので、特に夏の食事には気をつけましょう。

肝臓・腎臓とお肌の関係

ここからはお肌と肝臓、腎臓の関係についてです。

夏は高温多湿の過酷な季節のため肝臓も腎臓も弱りやすくなります。この傾向は残念ながら歳を重ねるにつれ顕著になる可能性が高いです。「肝腎要」という言葉があるとおり肝臓、腎臓は人体にとってとても大事な器官です。この二つは体内物質の合成と代謝を担いますので、顔色やお肌等、皮膚に及ぼす影響も少なからずあります。

 

腎臓が悪くなるとむくみが出ます。足もですが顔やまぶたにも出やすくなります。さらに目の下のクマも出やすくなります。お肌の色合いが黒っぽくなりくすんだようにもなります。皆様も外食や夜遅くまでお酒を飲んだりすると、翌朝にこのような肌症状を経験したことがあると思います。他にも腎機能が低下すると老廃物が皮膚や血中にたまり、かゆみ受容体を刺激して脳に伝わってかゆみを感じます。皮膚が乾燥しやすくなり、こちらもかゆみの原因になります。

ここからは専門的になりますが、腎臓の病気で今や日本人の国民病とまで言われている糖尿病について少しお話をしておきます。糖尿病のリスクは加齢とともに高まりますので、中高年の方には知っておいていただきたいです。

糖尿病を患うと様々な皮膚症状が出てきます。水虫やニキビ、イボ、ヘルペスなどを発症しやすくなります。菌を殺す力が弱くなるので感染症にかかりやすく、治りにくくなります。また皮膚感覚が鈍くなったり、手足のしびれや痛みが出ることもあります。症状が進むと中小動脈が狭窄し微小血管の循環障害を起こすことで、足先になかなか治らない傷(潰瘍)ができやすくなります。他にも湿疹やじんましんの原因になったり、口腔内乾燥や口内炎などの皮膚症状は多くみられます。

糖尿病には遺伝的要素もありますが、肥満や高血圧、脂質異常症等の生活習慣病が原因となる場合が多いです。ですからメタボリックシンドロームに注意した生活習慣が大切です。糖質、脂質の摂り過ぎにはくれぐれも注意してください。

 

次に肝臓です。こちらも腎臓と同様に機能が低下すると、肝臓が代謝するさまざまな物質が、過剰、或いは不足して、皮膚に症状がみられるようになります。よく知られているのは全身が黄色くなる黄疸です。これは通常であれば使われた血液の成分が肝臓で代謝され便や尿中に排出される機能がうまく働かず、皮膚に付着して黄色くなるものです。また全身に特に炎症はないものの腎機能障害でも述べた、かゆみが強い皮膚掻痒症(ひふそうようしょう: 局部または体のアチコチにかゆみが生じる皮膚疾患)が出ることもあります。手のひらや足の裏が全体的に赤くなる手掌紅斑、中央に小さな赤い点とその周囲に放射状に毛細血管の拡張を認めるクモ状血管腫などもみられます。

肝臓の機能が落ちるとお肌の代謝も悪くなりシミやくすみの原因になってきます。肝臓は沈黙の器官といわれ悪化しても症状が出にくいため注意が必要です。アルコールの過度の摂り過ぎはもちろん、薬剤や肥満、高血圧、ストレスも肝臓に負担をかけます。バランスの良い食事と適度な運動を心がけてください。食後は30分から1時間ほど肝臓への血流を増やすために横になって安静にするほうが良いでしょう。

また、お薬の副作用で肝臓、腎臓に影響が及ぶ場合があります。特にNSAIDsと言われる痛み止め(ロキソニン®等)は、生理痛や頭痛に服用される方も多いですが、腎臓への負担が強いので、続けてのまれる時はお医者さんの指示に従ってくれぐれも注意するようにしてください。

最後に余談ですが肝斑についても触れておきます。肝斑には肝臓の肝の字が使われているため肝臓と関係がある…と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は肝臓の機能とは関係ありません。なぜ肝という字が入るのか私も興味をもちまして調べましたら、どうも色や形が肝臓に似ているから…とのことみたいです。

 

以上、夏のお肌ケアと肝臓、腎臓と皮膚の関係について述べました。ちょっと難しく退屈な部分もあったかもしれませんが、知っておいていただきたいことをお話しました。

私の臨床経験では顔色の悪い方、くすんでいる方は相対的に肝臓や腎臓の機能が低下している場合が多いです。暑い夏は特にこれらの臓器が弱りがちですので、毎朝の洗顔の時にお顔の色に注意してください。くすんでいるなぁ…と感じられる時は肝臓や腎臓からのサインかもしれませんので、生活習慣を見直しましょう。

お肌は健康のバロメーターです!健康な方はお肌の色艶も良いです。つまりお肌のアンチエイジングは体のアンチエイジングと同じことなのです。厳しい暑さがしばらく続きますが、バランスの良い食生活と質の良い睡眠、そして保湿ケアを心がけて美肌をキープしてください。

 


~皮膚科医師 白木 美保~

西奈良メディカルクリニック メディカルフィットネス登美ヶ丘勤務
http://www.nishinara-med.com/staff.html

皮膚の事は何でもお聞きください。 皮膚がより健康な状態で年齢を重ねていけるようにお手伝い致します。美容に関するご相談も、お気軽にどうぞ。同じ子育て中の身ですので、お子様の皮膚トラブルやスキンケアなど細かな事でもご相談して下さい。

■経歴関西医科大学卒
関西医科大学皮膚科入局
関西医科大学滝井病院 皮膚科
関西医科大学枚方病院 皮膚科
H26~現職(医療法人悠明会)

■担当
・皮膚科の診療
・日本皮膚科学会皮膚科専門医
・日本美容皮膚科学会
・日本小児皮膚科学会

2020.08.10 column