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お肌のアンチエイジング お肌と脳と心の関係

お肌と体の各部位との関係性についてお話するアンチエイジングのコラム、今回のテーマは脳と心についてです。脳の機能は非常に多岐に渡りますが、その一つに感情を司ることがあります。つまり気分、気持ち…要するに心の部分です。これらの機能と皮膚は深い関係性を持ちます。皆様もお肌の調子が、ご自身の気持ちに大きな影響を与えることを、感じておられるはずです。

お肌⇔脳の関係は鶏と卵のように、どちらが先とは言えませんが、深く係わっていることに変わりはありません。脳=心=お肌の関係とそれに係わる様々な症状、そしてアドバイスを美容皮膚科の視点でお話させていただきます。

 


 

■皮膚と脳は同じルーツ
皮脳同根(ひのうどうこん)という言葉があります。聞きなれない方も多いかと思いますが、読んで字のごとく…つまり皮膚と脳は同じルーツを持っているという意味です。少し専門的になりますが、母親の胎内の受精卵は細胞分裂を繰り返しながら発生初期の段階で内胚葉、中胚葉、外胚葉の3つに分裂します。この中の外胚葉から皮膚と神経、脳が分化していくため、密接に繋がっていると言われています。そう言えば、はずかしくて顔が赤くなったり、恐怖や緊張で顔が蒼ざめたり、精神的に疲れてお肌がくすんだり、感情が肌色に現れることは皆さまもよくご存じですね。では感情はどこで作られるのでしょうか? 主に脳の扁桃体です。このことからも皮膚と脳の係わりがお分かりになると思います。

■脳が係わる皮膚科の病気
脳は神経の伝達にも大きな役割を担っています。そして、皮膚と神経が関連している病気が皮膚科にはたくさんあります。皆様もイライラすると頭を掻いたり、緊張すると顔を擦ったりする行為に心覚えがあると思います。また心理状態によって、掻いたり擦ったりする掻破行動が起こることもあります。それはストレスが、痒み=掻きたい衝動と密接に関係していることの現れです。掻くと気持ちがいい、気分がすっきりするといった快感が掻破行動に拍車をかけます。このような掻破行動はアトピー性皮膚炎やニキビなどの発症や悪化の原因となります。掻くことで皮疹がひどく悪化すると、それもまたストレスとなります。もっと深刻になると、これらストレスの連鎖でうつ病を併発してしまうこともあります。つまり、ストレスと掻破行動の悪循環や習慣化が、皮膚の病気に関係していることは決して稀なことではないのです。

事実、湿疹やアトピー性皮膚炎、かぶれなどが急性の精神的ストレスによって誘発されたり悪化したりする報告も多くあります。例えば学生さんの試験期間中や、親子や夫婦間の家庭問題のストレスが、皮膚のバリア機能の回復遅延を引き起こした報告もあります。お子様の受験シーズンにアトピーが出るのはそのせいです。また、精神の症状が皮膚に症状として現れる抜毛症や皮膚寄生虫妄想、身体醜形障害や自傷性皮膚炎などになることもあります。

 

■ストレスと皮膚の関係
近年、脳とストレスの関係の研究が進んでおり、ストレスが脳に影響を及ぼし、高度な精神機能を奪ってしまうことが解明されつつあります。現代人は様々なストレスを抱えています。ストレスの種類も暑さ、寒さ、騒音や混雑などの物理的ストレス。公害物質、薬物、酸素不足・過剰、一酸化炭素などの化学的ストレス。そして人間関係や仕事上の問題、家庭の問題などの心理・社会的なストレスと多様です。心理的ストレスを受けた場合、副腎皮質からコルチゾールと呼ばれるホルモンが分泌されます。コルチゾールは血圧や血糖値を上昇させるストレスホルモンです。これらのストレスは皮膚にも少なからず影響を及ぼします。
生物的なストレスとしては、酸化ストレスがあります。生体において活性酸素を消去する抗酸化作用が不足すると体に活性酸素が過剰に蓄積し、細胞や組織にダメージを与え、老化や病気の原因となります。この酸化ストレスはシミやシワなどの皮膚の老化を助長し、心身へ悪影響を及ぼします。まさにお肌のアンチエイジングの敵ですね!

 

■ストレスとメイクの上手な付き合い方

常に「若く美しく見られたい」のは誰もが思うことです。そのためにメイクをする女性も多いことでしょう。ところがアトピー性皮膚炎やニキビ肌になってしまうと、なるべくメイクを控えたほうが良いとされているため、メイクができないことによるストレスが生じます。またメイクをしようとしても、お肌の調子のせいで上手くいかないと、こちらもストレスになる可能性が高いです。

メイクで綺麗に見せたいのにできないと、そのせいで却ってストレスを感じ、さらに病状を悪化させることにもなりかねません。ですから、アトピーやニキビのお肌でもメイクをしたかったら、すれば良いと思います。その場合、「厚塗りにつけすぎない・落とすときに擦りすぎない・洗いすぎない」を心がけるようにしてください。皮膚科ではお肌に優しい基礎化粧品やクレンジングのいらないファンデーションなども扱っていますので、専門医にご相談されたら良いでしょう。
皮膚症状の強い部分には、強く擦ったり厚く化粧を重ねると、さらなる悪化を招きます。そういう時には肌荒れを起こしている部分を避けたメイクをお勧めします。例えば頬や額に炎症があれば、目や口元をしっかりとメイクをすることで人の視線を逸らすことができ、肌荒れの部分に目がいきにくくなります。お肌がきれいではないから、病気だから…と諦めず、それぞれにあった化粧方法を行うようにすればストレスが和らぐのではないでしょうか。

■生理周期や更年期のお肌と脳との関係
女性は生理周期によりイライラや不安感などの精神症状を伴いやすいです。また更年期にもホルモンバランスの変化で精神症状を伴うことが多くあります。それは漢方医学的にお血(おけつ)という血が滞っている状態かもしれません。この状態の方はケガや日焼けのあとの色素沈着がなかなか治らない、目の下にクマができやすい、また下肢に静脈瘤が出やすいといった特徴があります。同じような特徴に覚えがある方は、桂枝茯苓丸と言われる漢方を試してみてください。精神症状にもお肌にも効果的です。

女性特有のイライラや精神の不安定には当帰芍薬散もお勧めです。こちらは全身の血の巡りを良くして水分代謝も整えるため、むくみにも効果的です。皮膚の発疹かゆみにも良いと言われています。余談ですが、以前、韓国の時代劇で当帰が盗まれる場面があり、宮廷の医師が女官に「当帰は肌に良い」と言っていました。
加えてお肌が荒れやすい方には、ハトムギエキスであるヨクイニンを加えた桂枝茯苓丸加ヨクイニンも効果的です。漢方を飲むほどでは…と思われる方も普段からハトムギ茶を飲まれるとお肌の調子が整うと思います。

 

以上、お肌と脳、心の関係と対処方法について述べました。
女性でしたら誰しも思い当たることがあったことでしょう。それほどにお肌は感情にも敏感なものなのです。気持ちよく過ごすとお肌にも良い影響を与えます。ですが、現代人はストレスまみれですので、気持ち良い状態を継続することは難しいですね。
リラックスできるバスタイム、心地よいヒーリング音楽、好きなアロマの香りの中で瞑想する等、ご自身にあった「気持ちいい」をみつけてください。そして若々しいお肌を保っていただければと思います。

 


~皮膚科医師 白木 美保~

西奈良メディカルクリニック メディカルフィットネス登美ヶ丘勤務
http://www.nishinara-med.com/staff.html

皮膚の事は何でもお聞きください。 皮膚がより健康な状態で年齢を重ねていけるようにお手伝い致します。美容に関するご相談も、お気軽にどうぞ。同じ子育て中の身ですので、お子様の皮膚トラブルやスキンケアなど細かな事でもご相談して下さい。

■経歴関西医科大学卒
関西医科大学皮膚科入局
関西医科大学滝井病院 皮膚科
関西医科大学枚方病院 皮膚科
H26~現職(医療法人悠明会)

■担当
・皮膚科の診療
・日本皮膚科学会皮膚科専門医
・日本美容皮膚科学会
・日本小児皮膚科学会

2020.02.07 column