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美容注射と点滴の種類と効能

今までのコラムでシミやシワ等の美容治療のお話をしてきました。その際、効果的な施術として各種点滴や注射についても述べてきましたが、今回はそれらの種類と効果・効能をまとめて紹介させていただきます。

併せて美容注射&点滴の施術を受ける際の注意点についてもお話をいたします。


■美容注射&点滴の種類

最初になぜ注射と点滴があるのかについて述べておきます。
注射、点滴ともに体内に有効性成分を直接に入れる治療方法ですが、投与する薬剤の種類が多かったり量が多かったりすると、それらを溶かすベースの補液も多くなるため、注射では無理になり、点滴となります。
それでは各種美容注射&点滴について内容成分、効果・効能、そしてどの程度の頻度で治療を受ければ良いかについてお話をいたします。

 

1)にんにく注射

この名前から「にんにく」が入っていると誤解する方もいらっしゃいますが、本当に、にんにくが入っている注射ではありません。主成分はビタミンB1で、他にビタミンB群、ビタミンC等、健康増進に効果的な成分をバランスよく調合されているものが一般的です。ビタミンB1の成分に含まれる硫化アリルがにんにくのような香りがすることから、この名前が付けられました。にんにくと付いているため、スポーツ選手や男性がこの注射をするイメージが強いですが、女性にもお勧めできる注射です。
ビタミンB1は健康な体を維持するのに大切な成分の1つです。不足しますと全身の倦怠感、食欲不振等、様々な障害が現れやすくなります。そのため、お肌の調子も悪くなりがちです。ビタミンB1は食事やサプリメントでもある程度は補うことができますが、上述の症状が強く、即効性を期待する場合は、注射による補充が有効的です。

効果としては疲労回復、筋肉痛、肩こり、冷え症、腰痛、関節痛、ニキビ、肌荒れ、口内炎の改善等、実に多岐にわたります。疲れがなかなか取れない方、スポーツやレジャー等の筋肉痛を回復したい方、さらには二日酔いを早く回復されたい方にもお勧めできます。

にんにく注射は静脈注射で、1分ほどの短時間で行うことができます。
ビタミンB1は水溶性のビタミンですので、過剰投与による副作用はありません。ですから極端な話、毎日でも投与可能です。
お勧めはそれぞれの症状に応じて、週に1~2回程度ですが、体調が回復してきますと2週間に1回程度でも構いません。

2)プラセンタ注射

皆さまが美肌への効果に最初に思い浮かべられるのはプラセンタ注射かと思います。プラセンタの最大の特徴は自然治癒力の増大です。それを体内に取り入れることで様々な機能を改善すると考えられています。
医療機関で注射に使われるプラセンタは人の胎盤から抽出したエキスです。サプリメント等には動物の胎盤エキスを用いているものもありますが、日本国内では注射に用いるプラセンタは、人の胎盤のものに限られています。

プラセンタには胎児の成長に不可欠な豊富な栄養素や、体の細胞を活性させる成分のアミノ酸、核酸、塩基(酸を中和する能力のある化合物)、ミネラル等が含まれています。

下記に一般的な効果をまとめて記します。
1.美肌作用:美肌、美白、お肌の張り、保湿、コラーゲンの生成促進
2.疲労回復
3.免疫賦活作用:免疫力、自然治癒力を高める
4.自律神経調整作用:不眠、不安、抗うつ感、自律神経失調症の改善
5.内分泌調整作用:ホルモンのバランスを整える、更年期障害、生理不順の改善
6.抗アレルギー作用:アトピー性皮膚炎、花粉症等の改善
7.抗酸化作用:活性酸素の発生を抑制
8.血行促進作用:冷え性、頭痛、肩こり、腰板等の改善
9.肝機能の改善

プラセンタ注射は、皮下、または筋肉注射で投与します。体内での吸収がとても良いので、注射後の効果の持続は2~3日と言われています。症状の程度や効果には個人差がありますが、週に2回程度から開始して、効果を実感しだしたら1週間に1回から間隔をあけていくと良いでしょう。

※プラセンタ注射を受ける場合の注意
医療医薬品として薬事認証を受けているヒト由来のプラセンタには「ラエンネック」「メルスモン」の2種類があります。ただし、これらは人の胎盤を原材料としているため、病原体侵入による感染症のリスクがないとは言い切れません。上述の注射薬は医薬品の製造メーカーで厳密に検査をされておりますが、ヒト胎盤由来の生物学的製剤のため、プラセンタ注射を受けた方は血液の提供ができなくなります。
現状ではヒト胎盤由来を原材料とした医薬品により、感染症が伝播したと報告は国内外を問わずありません。しかし変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等の感染のリスクを完全には否定することはできません。このことから、ラエンネック、メルスモン含有のプラセンタ注射をした方は、日赤を通じた献血ができなくなります。

3)美白注射

ビタミンCを中心にビタミン類をバランスよく配合した注射です。
ビタミンCはメラニンの生成を抑えたり、できてしまったメラニンを還元したり、活性酸素を抑える等、シミやソバカスへの美白効果があります。また、コラーゲンの生成を助けるため、シワやたるみにも効果が期待できます。

美白注射は静脈注射です。
他の美容注射同様に、週1~2回を定期的に受けられるのがお勧めです。

4)白玉点滴(注射)

白玉点滴(注射)はグルタチオンという成分を高配合した、美白を目的とした点滴です。
有名な海外セレブたちが受けていることから火がつき、美白点滴の代名詞になりました。別名、シンデレラ点滴やプラチナ点滴とも言われています。
グルタチオンは強い抗酸化力を持ち、老化の原因の一つ、活性酸素の働きを抑えます。また紫外線や喫煙、ストレス等が原因で過剰生成された活性酸素も抑制してくれます。シミ、そばかすの原因になるメラニンの合成を強力に抑制する働きもあり、その意味でも白玉点滴は優れた美白・アンチエイジング効果があるとして話題です。

グルタチオンは人間の体内に広く分布する・グルタミン酸・システイン・グリシンアミノ酸の3つのアミノ酸が結合したペプチド(化合物)です。強力な抗酸化作用があり、人間の身体を錆びから守ってくれる代表的な物質でもあります。免疫システムにおいても重要な役割を担っており、アレルギーや喘息等を抑える効果もあります。
グルタチオンは動物や植物等の細胞の中に在り、人間の体内では皮膚や肝臓、目の水晶体や角膜等に多く含まれていますが、残念なことに加齢や紫外線の影響によって20代以降、年齢を重ねると徐々に減少していきます。また、胃腸ではほとんど体内に吸収することができません。そのため、経口では大きな効果が期待できないため、点滴で投与することが一般的です。

投与成分の量にもよりますが、一回の白玉点滴の所要時間は10分~30分です。週に1、2回がお勧めで、即効性はありませんが、続けることで効果が期待できます。

5)高濃度ビタミンC点滴

高濃度ビタミンC点滴療法は、がん治療の代替治療として、アメリカ等で開発され現在も臨床的に使用されています。皆様もご存じのようにビタミンCには美白・美肌の効果があることから、美容分野でも注目されるようになりました。
高濃度のビタミンCを点滴することで、短時間で全身に行きわたり、細胞が活性化して若返り効果を促進します。たっぷりのビタミンCでコラーゲンの生成、メラニン生成の抑制、抗酸化作用を促し、身体の中から若く美しくなるアンチエイジング治療です。

ビタミンCは水溶性のビタミンのため、多く摂取しても余剰分は尿として排出されます。ですから、ビタミンCを大量に経口摂取しても、血中濃度はある一定以上からは上がりません。ところが、直接に静脈内に点滴で大量投与しますと、経口摂取の数十倍の量が血管内に行きわたります。こうしてビタミンCの血中濃度を高めることにより、ビタミンCを必要とする各器官に直接に届けて、経口摂取とは異なるレベルの作用を起こすことができます。その結果、各種疾患の予防や、より高い美容・アンチエイジング効果が期待できるわけです。喫煙者、強いストレス状態にある人はビタミンCが失われやすいので、より積極的にビタミンCを摂る必要があり、その意味でもお勧めできる点滴です。

点滴に要する時間は投与するビタミンの量にもよりますが、だいたい30分前後です。しっかりとした効果を期待されたい場合は、週1,2回のペースで始められるのがお勧めですが、無理のない範囲でご自身のペースで行っていただければ良いと思います。

 


■美容注射&点滴をする場合の注意点

美容注射や点滴を受ける際、ご自身の体調に問題がなければ、特に大きな注意点はありませんが、ここではよく質問される項目について述べておきます。

1)美容注射&点滴をした当日の注意点
こちらは特にありません。入浴や飲酒も大丈夫です。

2)美容注射&点滴とサプリメントとの並行した服用について
昨今は薬とサプリメントの同時服用により、副作用が生じる可能性についての注意が言われていますが、美容注射&点滴はサプリメントを並行して摂取しても問題はありません。ただ、ご自宅で同成分の製剤やサプリメントを摂取していただくよりも、注射や点滴のほうがより効果が期待できます。

3)体質や体調的に避けたほうが良い方
投与する薬に対してアレルギー反応がある方には投与はできません。投与をされる前のヒアリングでアレルギーをお持ちの方は必ず医師にお伝えください。
また、妊娠中は疾患等で薬剤の投与が必要な場合を除き、積極的に投与を受けることはお勧めできません。なぜなら美容注射や点滴は妊婦さんには、十分な安全性が確立された治療方法ではないためです。もしも妊娠されていて体調やお肌の調子がすぐれず、疲労感等があった場合は、かかりつけの医師に相談して、一般的な治療を受けることをお勧めします。

以上、美容皮膚科での治療で受けられる主な美容注射・点滴の成分、効果・効能についてお話をいたしました。お肌のシミやシワの治療には、注射・点滴以外にレーザー等の有効的な施術があります。ただ、どうしてもお顔にレーザーを照射することを避けたい方やレーザー治療に抵抗のある方もいらっしゃいます。そのような方にはこれらの注射や点滴が有効かと思います。

美肌ケアはダイエットと同じです。日々の努力の積み重ねが未来の結果に反映されます。正しい食事や生活習慣無くして美しいお肌は作れません。あくまでも美容注射や点滴はその助けとなるものです。お肌の調子のすぐれない方は、まずは日々の生活を見直してみましょう。早寝・早起き、バランスの摂れた食事、そして紫外線予防も必須です。貴方は大丈夫でしょうか?今一度、確認してみてください。


松田七瀬 マエダクリニック勤務 http://maedacl.jp/
経歴 平成17年 大阪市立大学医学部付属病院 初期臨床研究医
平成19年 大阪南医療センター皮膚科
平成20年 大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター
平成25年 シロノクリニック 大阪市内皮膚科クリニック等で勤務
所属 日本皮膚科学会認定専門医 日本抗加齢学会専門医
日本皮膚科学会 日本美容皮膚科学会 日本アレルギー学会
日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会 日本抗加齢医学会

 

2020.01.13 column