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凄い!イワシの力 お疲れのあなたに栄養豊富なイワシは、いかがですか?

先日、日本へ一時帰国していた我が家族も無事にサレルノへと帰って来ました。
我が家のスーツケースには、パンパンに詰まった日本食。
しばらくは、心も体も潤いに満ちた生活が送れそうです(笑)
で、大事にし過ぎて気がついたら賞味期限切れ・・なんてことにならないように気をつけたいのですが、これも海外在住者のあるあるパターンという感じで、無駄にしないように気をつけなくてはなりません。
しかし、こんなに沢山の日本食材を持ち帰ってきても、私の心はなかなか満たされないのです。

もちろん、ココ南イタリアにも新鮮でおいしい食材は山程あり、在住歴が長くなるほど人間の味覚が変化してくるのも自然なことです。
と言うのも子供の頃から大のチーズ嫌いであった私が、普通にパスタにチーズをかけて食べられるようになったくらいですし…。
それと、地元の新鮮な食材を食べることは、健康維持の秘訣であることに間違いなく、イタリアの生活が始まれば、またイタリア料理の毎日にも自然と慣れてくるのが、人間の順応力という素晴らしい力なのであります。
それでも・・たまに食べる日本食は、生まれ育った土地の記憶を呼び起こすものと言いましょうか、自然と元気が沸いてくるエネルギーの源、元気の活力みたいなものに思えます。
ですので、日本帰省の際に可能な限り持ち帰ってくる数々の日本食、これ程の量をもってしても満たされない理由を考えてみると・・個人的見解で申し訳ないのですが、日本滞在中に感じる一番の幸せは、やはり「旨い魚を食べれる幸せ」なのでありまして・・それも低コストで、素晴らし過ぎ!と言うのは、イタリアはお魚が結構高いのです。

それでも私の住むサレルノは、サレルノ湾に面する素晴らしい立地条件であるため、それほど悪い環境でもないのが唯一の救いです。そして、そんな悩ましげな私を救ってくれる魚も見つけ出すことができました。それは、まさにサレルノ湾で捕れるイワシなのであります。


・サレルノ湾のイワシは、いかがですか?
サレルノで魚を購入する場合は、ほとんど市場に行きます。
近海で捕れた見たことのない魚たちを見られるのも楽しいし、ドスの利いた声で呼び込みをするオジサン達の人間観察もかなり面白いんです。
それでも慣れるまでは、あの見た目とドス声に恐怖さえも感じたものですが、何度も通ううちにアジア人女性の顔も覚えてくれ、今では少し離れた場所にいても『シィニョリーナ(お嬢さん)今日は、何もいらないのかい?』とか、お世辞も合わせて話しかけてきてくれるお茶目なオジサン達なのでありました。
とにかく、魚が高いイタリアでは近所の魚屋で買うよりも安い価格で提供してくれる市場は、地元民の味方と言える場所なのでありましょう。
でもって、地元の海で捕れるサレルノ湾のイワシは、絶滅の危機から守るべき希少な食材となっている!!なんて報道もありながら、まだまだ豊漁で安いのです。やはり、イワシはイタリアでも庶民の魚として注目され続け、魚市場に行けば必ず並んでいる魚なんですね。
ただこの辺りでイワシを食べることが多いのは、単に経済的な理由の他にも、栄養価が高い魚であることが、古くから知られているからだと思うのです。

そこで今回は、イワシの栄養価について、分析し解明してみることにしました!

『凄い! イワシの力』
「海の米」や「海の牧草」と呼ばれるほどの栄養豊富なイワシ。
その魅力は、美味しさや万能さだけではないのです。

・太陽のビタミン 「ビタミンD」が豊富!
イワシは、ビタミンDが豊富に含まれています。ビタミンDは、日光を浴びることで体内に生成される栄養で「太陽のビタミン」とも呼ばれています。ビタミンDには、血糖値を下げるインスリンの分泌を促す作用があるため、糖尿病予防の効果があると言われています。その他にもビタミンDには、カリウムやリンの吸収を促進して骨を強化する効能があります。

・イワシのカルシウムは、吸収率が高い!
イワシの栄養には、カルシウムも含まれています。カルシウムは、歯や骨を形成する成分で骨を丈夫にして骨粗鬆症の予防効果があります。カルシウムが不足しがちな子供や女性には、積極的に摂取していただきたい栄養の一つです。また、カルシウムは食品によって吸収率が異なり、優れている牛乳の40%に次いでイワシは33%と高くなっています。

・マグネシウムやリンを含む、酸素の働きをサポート!骨を丈夫にする効能
イワシには、マグネシウムも含まれています。マグネシウムは、魚介類や大豆製品に多く含まれる栄養素で300種類を越す酸素の働きをサポートしています。効能としては、補酵素として酸素の働きを助け、神経の興奮を抑制したり、骨の形成に関わり、体温や血圧を調整したりする作用があります。

そしてイワシに含まれるリンは、魚介類の中でも比較的多く、特にイワシの丸干しは魚介類の中でもトップクラスになります。
リンは必須のミネラスの一つで、エネルギー代謝や脂質代謝などにおいて重要な役割を担っています。また、カルシウムとマグネシウムを結合して歯や骨を形成する働きがあります。

・不飽和脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA)-血栓の予防効果
青魚の脂に多く含まれているEPAは、もちろんイワシにも多く含まれています。
このEPAは、体内で生成することが出来ない成分なので食品から摂取する必要があるのです。EPAは、血液の流れをスムーズにして血小板が固まるのを阻止するため、血栓予防の効能があります。EPAを無駄なく摂取するには、加熱処理せず刺身のまま食べるのがベストです。

・脳の栄養素 ドコサヘキサエン酸(DHA)アルツハイマー認知症の予防
DHAも同じく不飽和脂肪酸で青魚の脂に含まれている成分です。DHAには、脳を活性化させる働きがあり記憶力や計算力を高め、アルツハイマー認知症の予防にも効果があります。酸化しやすい成分であるため、酸化を防ぐ作用のあるB-カロチンや、ビタミンCなどの栄養素を含む食品を一緒に食べることをお薦めします。

・アミノ酸チロシン-うつ症状改善の効能がある栄養も
イワシには、必須アミノ酸の一つであるチロシンも含まれています。
チロシンには、ドーパミンやノルアドレナリンの材料となる成分で、やる気を引き起こしたり集中力を高めたりする効能があります。またうつ病の改善にも効果が期待できます。

と、イワシにはさまざまな栄養が見事に含まれていることが、お分かりいただけたと思います。が、それプラス一緒に食べ合わせるとより良い食材があるのもご存知ですか?
ここで、栄養の相乗効果を高める食べ合わせの良い食材についてもご紹介したいと思います。

・一緒に食べると良い食材、期待できる効果
イワシは、沢山のレシピがある魚です。日本では、お刺身やお寿司、開きや焼き魚や煮付け、その他にもなめろうやつみれ、醬油漬けなど幅広いレシピがあり、さまざまな味で楽しめる魚です。まさに庶民の魚といえる所以です。
効果や効能別にイワシと組み合わせの良い食材についてもご紹介しましょう。コレステロール低下、動脈硬化の予防には「ネギ、オリーブオイル、こんにゃく」、高血圧の予防には「しいたけ、ゴマ、昆布」、ガン予防、血行促進の予防には「トマト、ニンジン、きくらげ」、老化防止、スタミナアップには「かぼちゃ、さつまいも、アーモンド」などが挙げられます。メニューを考える際にも、期待できる効果を予め知っておくのは大切ですからね。

・アマルフィ海岸の漁師町で作られる イワシの魚醬コラトゥーラ
それでは、私の住むイタリア、地元サレルノ湾のイワシ料理も沢山ある中で、簡単なレシピをいくつかご紹介させていただきます。

1.まずは、マリネのためによく使われるイワシ。
出典 ioviaggio.it
頭や内臓、小骨を手で取って開きにし、そのまま酢(Aceto di vino)で2時間くらいしめる。お酢でしめたイワシを別皿にうつす。その際、開いたお腹の方を上向きにして並べると美しくなります。調味料として、細かく刻んだイタリアンパセリ(好みでミントも可)とニンニク、小口切りの唐辛子と塩少々を全て混ぜ合わせたものをかけ、最後にエクストラヴァージンオリーブオイルを浸るくらいにかけたら冷蔵庫にて保存します。酢でしめてあるので1週間位は保存可能。テーブルに運ぶ時間の半日前には、冷蔵庫から出して常温の状態のものを食すようにしてください。食感もプリプリのコリコリのマリネです。魚料理のコースであれば、定番の前菜と言えるかもしれません。

2.次は、なんといってもイワシのフライです。

出典 salenotoday.it
日本だと小魚は下処理しないで丸ごと揚げたりしますが、この辺りでは下処理をきちんとしてから調理することが多いように思います。イワシの頭と内臓を取った身(骨は残す。食べる際に、イタリア人結構骨取る人も多いかも?!)を小麦粉に合えて、高温の油でカラっと揚げるだけです。
これは、この辺りのストリートフードとしても人気の食べ物で、厚紙をクルッと巻いた筒状の入れ物に、イワシやタコ、イカ、エビなどをミックスした一口サイズのフライが入っていることが多いです。地元民が愛するソウルフードみたいな感じかも!新鮮な素材を使っているからこそ、美味しい揚げ物になるのでしょう。

3.そして、私が個人的に一押しする、イワシのめちゃくちゃ美味しい一品は、鮮魚そのままの栄養価の魚醬コラトゥーラ(Colatura)アリーチ(イワシ)のパスタです。
まずはこのコラトゥーラ アリーチですが、これは南イタリアのアマルフィ海岸の漁師町チェターラで作られるイタリアで唯一のイワシの魚醬になります。塩や醬油のように、ただかけるだけで天然の旨味調味料になるのですが、一度知ったら手放せない優れモノで、その味の奥深さは感動モノです。
最近は、日本でも雑誌などで取り上げられて、紹介記事もあるみたいで、静かなブームなのかもしれません。しかし、イタリアでは古代ローマ人も愛し、ローマ繁栄にも一役買ったと言われる魔法の調味料『ガルム』によく似ている・・とまでも言われているほど!歴史の深いモノなのです。

このコラトゥーラ アリーチを作る過程がまた感動的で、昔と変わらない製造方法のまま根気のいる仕込みを全て手作業によって行っているから驚きなんです。

<コラトゥーラ アリーチの作り方>

出典 saporideisassi.it
小さい木の樽にイワシの身をぎっしりと敷き詰め塩をふり、その上にまた更に身を交互に積み重ね、最後はたっぷりの塩で覆います。後は木の蓋をして、重石をのせて熟成発酵させます。熟成期間は、4ヶ月~6ヶ月間です。

このように熟成発酵させる中で、魚のたんぱく質がアミノ酸に分解、凝縮されイワシの体内から滲み出てくる養分を何度もろ過して雑味が払われ、透き通った琥珀色の養分と油分が残り、それがコラトゥーラ アリーチになります。

うちに必ず常備しているDELFINO社のコラトゥーラ

<古代ローマで大人気、万能調味料 ガルムとは・・>
この根気のいる製造方法の起源は古代ローマ時代にまで遡ると言われています。
なぜならイタリアにトマトが入って来る以前に古代ローマ人が食べていた『ガルム』と
呼ばれる魚醬とよく似ているからです。
当時、ガルムは料理に彩りを添えるだけでなく医療にも用いられたという万能調味料
で、たんぱく質を含むこの調味料で回復期の患者の食欲を増進させたりするなど、さま
ざまな病に対する治癒効果があると考えられていました。

そして現在、チェターラで作られるコラトゥーラ アリーチも凄い栄養食だということは明らかにされています。なんと鮮魚の栄養価とほぼ変わらない数値が大学の成分研究所のデータから実証されており、加工しても鮮魚と同じ成分のままという大した代物なのです。イワシの凄さを感じますよね。。
このコラトゥーラ アリーチを使ったパスタは、チェターラの代表的な郷土料理としても有名で、現在でもキリスト教にとって大切なクリスマスイブの日には、チェターラの人々はコラトゥーラ アリーチを使ったパスタを食べる習慣を今でも受け継いでいます。日本でいう『年越しそば』みたいな存在なのかもしれません。

それでは、本場チェターラの絶品コラトゥーラパスタの作り方も簡単にご紹介致しましょう!

CETARAのレストランAQCUA PAZZAにて。大変人気のお店なので予約必須。

<材料 コラトゥーラパスタ2人分>
・スパゲッティ          200g
・エクストラ ヴァージンオイル  大さじ3
・ニンニク 1片
・パスタのゆで汁 適当 (目安 大さじ2~4)
※裏技1・・コラトゥーラは塩味が強いので、通常入れるパスタのゆで汁には塩は抜き。

①コラトゥーラ アリーチ 大さじ2~3
②イタリアンパセリ 少々 (みじん切り)
③赤唐辛子 お好みの分量 (小口きり)
※1・・・①~③は、先に別の器に混ぜておくと簡単です。

パスタをゆでている間にフライパンを熱し、エクストラ ヴァージンオイルと潰したニンニクをいれて、オイルに軽くニンニクの香りを付ける。その後、ニンニクは抜き取る。ゆで上がったスパゲッティをフライパンにうつしたら※1とパスタのゆで汁を手早く入れて、ひたすら混ぜる。コラトゥーラは、味見をしながらお好みで追加するなど調整して下さい。お皿に盛ったら完成です。
BUON APPETITO♪
イタリアの伝統魚醬のパスタは、超簡単で栄養豊富。日本人の口にもぴったり合うから全てよし、なんです。私も、すぐにリピしてしまう超お薦めの一品です。

と、イワシの話もかなり長くなってしまいました。が、最後にイワシにまつわる思い出もひとつ・・。

イタリアに来て14年になる私ですが、長女が産まれた際に一度だけ両親がここに来たことがあります。私も初めての出産であったし、ハリキリ屋の主人は自分が調理すると言い、朝市で買った魚介類を山盛りフライにしたのを覚えています。山盛りの量のおもてなしは、南イタリアの基本ですから・・(苦笑)
その時に、みんなでテーブルを囲み、手づかみで食べたフライ。最後、皿の上にある残骸のあまりの量に、みんなでびっくりして笑ってしまいました。本当にすごく心温まる1日だったなぁ。。。と、今回のイワシの話でふと思い出しました。

と、このように魚が高いイタリアでもびっくりするほどの量を平和的価格で買えるのが、イワシの魅力です。

カラダにも財布にもイイ魚。
やっぱり日本でもイタリアでもイワシは、庶民の魚として立派に健在のようです。いつか本当に高級魚になってしまう前に、栄養豊富なイワシをたっぷりいただくことを是非、お薦めします!