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歯とアンチエイジングの関係「お顔の歪みについて」

井出デンタルクリニック 院長 噛みしめ症候群研究会 会長 井出徹先生

歯とアンチエイジングの関係について前回は・噛みしめ症候群とはどのような症状か?なぜ噛みしめると口元の老化「弛み」に繋がるのか、噛みしめ症候群の診察と予防方法についてお話しました。

今回は噛みしめ症候群が美容にもたらすもう一つのデメリット「お顔の歪み」についてお話します。歯や口腔の不適切な治療が発端となり、左右どちらかの口角が下がる等、お顔の歪みをもたらすことがあります。世間ではまことしやかに、人間の顔のほとんどは左右対象ではない…と言われていますが、それは間違いです。今回のコラムでは、なぜお顔が歪んでくるのか、その理由についてお話するとともに、噛みしめ症候群の治療法についても詳しくご紹介します。

 


人間のお顔は左右対称です

皆様の中でペットをかわれている方も多いと思いますが、可愛いペットのお顔は左右対称のはずです! もしもペットの猫や犬の口元が歪んでいたり、さらには動物園のライオンやお猿さんの口が歪んでいると、きっと「おかしい」と思われるはずです。なのに、なぜか人間だけは、お顔は左右対称では無いことがまかり通っています。

それでは赤ちゃんのお顔はどうでしょうか? 健康な赤ちゃんは綺麗な左右対称のお顔で生まれてきます。それが人間の本来の姿です。ところが成長するにつれ、お顔に歪みが生じる人がいます。加齢により、ますます歪みがひどくなる人もいます。お顔立ちが美しく、歯並びも綺麗な女優さんにも口元が歪んでいる人を見かけます。また笑ったりお話したりすると、どちらかの口角が下がる人も結構、多いです。

お顔の歪みは、生活習慣に起因しているとされています。もちろんそれも理由の一つです。また、歯科や口腔の治療が歪みをもたらす原因となる場合もあります。次にその理由を紐といていくことにします。

お顔の歪みの原因その1 生活習慣

左右対称のお顔で生まれてきた人間が、成長とともに生活習慣や日常の癖等により歪みが生じてくるのはなぜでしょう? その原因は全身の骨格と筋肉のアンバランスにあります。

☆バランスの崩れによりもたらされる生活習慣や癖

  • 頬杖をつく
  • 椅子に脚を組んで座る
  • 食べる時に片側ばかりで咬む
  • カバンを片側の肩ばかりで、かけたり持ったりする
  • 猫背等、姿勢が悪い
  • 寝る時に右か左のどちらかを上にして横向きに寝る(スムースに寝返りが出来ない)

上記の生活習慣で、何か思い当たることはありませんか?

これらが癖になり、習慣的に繰り返しているとますます歪みを増長します。その一つに歯の噛みしめもあります。噛みしめの症状がひどくなるほどに歪みもひどくなります。


お顔の歪みの原因その2 歯や口腔治療による弊害

歯の矯正をされた方の中に歯列だけはきれいに整ってはいるものの、口元が歪んだ方を見かけることがあります。それは矯正による弊害です。いくら歯並びだけが美しくなってもお顔の正中が曲がったり、噛み合わせに不具合が生じては元も子もありません。

また、歯を美しく見せるために、セラミック等で修正する方も多いですが、こちらも見た目だけの美しさに走り、歯の噛み合わせがしっかりと適応していないと、より歪みを増長させることに繋がっていきます。

歯科治療でも人為的に歯を削ったり、かぶせ物をすることで、歪みを生じさせることがあります。昨今は加齢により歯が失われると、インプラントの治療をされる方も増えていますが、こちらも噛み合わせが正しく整っていないと、全身に弊害が及ぶこともあります。

なぜ歯科治療によりこのような不具合が生じるかは後に詳しく述べますが、簡単に言いますと、噛みしめ症候群のままに、歯だけを治療していることにあります。

貴方のお顔は歪んでいませんか?

実はご自身では気付いていなくても微妙にお顔や全身に歪みを生じている人がいます。私が観る限りでは、かなり多くの人のお顔や身体は歪んでいます。

次に簡単な歪みのセルフチェック項目を挙げます。

  • 口角がどちらかに下がっている
  • ほうれい線の位置や長さ、深さが違う
  • 目の大きさが違う
  • 眉の位置の高さが違う
  • 耳の位置の高さが違う
  • 鼻筋が歪んでいる
  • 顎のラインが乱れている

上記のどれか一つでも当てはまる人はすでに歪みが生じていることになります。

最初は少しの歪みでも、普段の生活癖を続けている間に、もっと歪みが大きくなっていきます。お顔が歪んでいることに気づかれた方は、ひょっとしてお顔の歪みだけでなく、首や肩が凝ったりしていませんか?それこそが噛みしめ症候群です。


顔、全身の歪みのセルフ改善方法

普段から意識して生活習慣を見直すと顔や全身の歪みを防いだり、改善したりすることができます。もちろん完全に改善することは難しいですが、それでも悪化を防ぐことはできると思いますので、簡単に紹介しておきます。

・舌ぐるぐるストレッチ

口を閉じた状態で上下の歯をゆっくりと舌で触りながら、ぐるぐると回転させます。左回り3回、右回り3回を1セットで毎日3セット行います。

・ガムを噛む

普段、食事をする時に左右どちらかで噛む癖がある人は、その反対の奥歯でガムを噛むようにします。この場合、ガムは1粒ではなく一度に2~3粒を、筋肉をほぐすようにふわふわと噛むようにしてください。

・カバンを持つ腕や肩を左右交互にかえるようにする

人はどうしても効き腕や、そのほうの肩でカバンを持ったり掛けたりする傾向にあります。意識してなるべく左右交互でカバンを持ったり掛けたりするように努めましょう。

・座る時に脚を組まないようにする

もしも脚を組む場合は、右を上にする癖がある方は左と交互にする等、左右両方を使うようにしましょう。

・表情筋のトレーニング

顔の弛みやほうれい線の対策で行う表情筋トレーニングは、顔の歪みを予防する効果が期待できます。口を大きく動かしながらゆっくりと「あいうえお」と言うあいうえお体操や、割り箸を水平にくわえて1分間キープする割り箸トレーニングなどで表情筋を鍛えましょう。トレーニングの際は、左右のバランスが均等になるよう気を付けながら動かすのがポイントです。

以上、お顔の歪みを改善する方法を述べましたが、それらの方法で一旦、歪んでしまったお顔を元の状態に整えるのは、はっきり言って難しいです。そこで、お顔を本来の左右対称の状態に戻し整える噛みしめ症候群の治療をご紹介します。


噛みしめ症候群の治療方法

噛みしめ症候群の診察と予防については前回のコラムで述べましたので参考にしてください。

今回は、実際の治療方法について述べていきます。お顔の弛み、歪みを根本的に治した方に是非、お勧めしたい画期的な治療です。

噛みしめ症候群の治療は、原因や症状がそれぞれに異なるため、治療方法も一人一人に応じたオーダーメイドの治療になります。治療の前の診察では患者さんの現状を把握した上で

  • 口腔内を清潔に保つ「口腔ケア」
  • 咀嚼筋を緩め、噛み合わせを改善する「口腔リハビリ」
  • 噛みしめによる不調和を治し、血流を良くする「口腔治療」※マウスピースを使用

の3つを柱として治療に入ります。

私が開発したマウスピースを用いる治療について述べる前に今一度、なぜ噛みしめる状態に陥ってしまうのか、考える必要があると思います。「噛みしめる」のは全身の筋肉、骨格、関節等のバランスが崩れ、身体が歪んでいることにありますが、特に頭と首の位置関係はとても重要です。

頭をささえているのは上部頸椎です。少し専門的になりますが、頸椎の骨は上からC1~C7まで7つあります。特にC1は環椎、C2は軸椎と言い関節の関係にあり、C3からは下は椎間板で支え合っています。上部頸椎は脳から伝えられる神経情報の出入り口で、全身に影響を及ぼします。この大切な部分が噛みしめることにより、副交感神経の働きを悪くしてしまうのです。

例えば猫背の場合、頭蓋骨の位置が前に出ているため、頸椎が前に傾斜して肩が内側に入り、頭蓋骨が少し後ろに反るカタチになり、顎廻りの筋肉や皮膚が突っ張ることで噛みしめに繋がります。

これを軌道修正するのがオーダーメイドのマウスピースです。顎廻りの筋肉を徹底的にほぐし、マウスピースを調整しながら解除していきます。

治療の手順は

  1. 歪みを確認するための口腔内の型取り、及びレントゲン撮影
  2. 顎廻り、頭蓋、頸部の筋触診
  3. 全身の姿勢チェック
  4. セルフケアの説明
  5. マウスピースの作成
  6. 顎廻り、頭蓋、頸部の筋肉の緊張をほぐすための治療及びマウスピースの調整

上記の1~6を繰り返して治していきます。一気に治らない場合は、なるべく患者さんが楽なように徐々に軌道修正して治していくことになります。患者さんが以前にした歯科治療が少ないほうが、治る期間は圧倒的に短くなります。前述しましたように矯正や審美歯科での間違った治療による弊害がありますと、元の正しい状態に戻すのに多くの期間を要することになるのです。

もしも噛み合わせに支障をきたすようであれば、歯を削るのではなく、歯にプラスチックを足しながら調整します。セラミック等の歯の被せ物、矯正、インプラント等は必要があれば、噛みしめが治ったことを確認してから治療に当たります。

また、噛みしめ症候群のひどい方は歯や口腔だけに留まらず、症状が全身に及ぶこともあります。その場合は歯科医師だけでは対応しきれないこともありますので、整形外科や理学療法士の先生方とも連携の上で治療にあたります。

噛みしめの解消は美肌にも通じます

噛みしめ症候群の治療の目的を分かりやすく言いますと、全身の血流を良くして代謝をスムーズにすることです。噛みしめの解消により猫背や前屈等の状態が治り、姿勢が良くなると、しっかりと鼻から深く呼吸ができるようになります。このことが血流と代謝を良くすることに繋がるのです。

皆様も健康で長寿の方は姿勢が良いとお気づきと思います。姿勢が良いのは噛みしめていない証拠です。健康長寿の方はお肌の艶も良いはずです。それは噛みしめが無く血流と代謝が良いためで、肌細胞にも酸素がいきわたり、ターンオーバーがスムーズだということです。中高年の女性の方は美肌のために色々と努力をされていると思いますが、お肌の代謝を良くしたい方は、一度、噛みしめていないか確認してみてください。

噛みしめを解消して歪みの無いお顔に!

美しい人のお顔は左右対称です。眉、目、小鼻、口角が左右対称のお顔は美人の絶対的条件と言われています。また、ある調査では左右対称のお顔は、初対面で好印象を与えるとありました。噛みしめていない人はストレスのない状態にある訳で、自ずとニコニコと表情も明るく良くなるからです。

お顔の歪みは加齢によるもので所詮、治らない…と諦めてはいけません。生活習慣や噛みしめの解消等で、必ず良い状態に改善できます。人は左右対称で生まれてくるのですから、つまりは元のあるべき姿に戻すだけのことなのです。お顔が美しく整い、高感度がアップするだけでなく、全身の健康状態も良くなるのですから、治すに越したことはありません。

皆様も噛みしめを解消して左右対称のお顔を取り戻すとともに体の不調も解消して、ますます元気で美しくなりましょう!

 


井出 徹プロフィール

神奈川歯科大学 卒業 歯科医師  かみしめ症候群治療の第一人者。歯、口腔だけに係わらず、そこから全身に派生する、肩コリ、頭痛等の根本的解消として、噛みしめ症候群の研究、臨床を30年以上続け今日に至る。

 

地元の東京だけでなく他府県からも、治療に訪れる患者が多数ある。 治療の基本は患者とのコミュニケーション。医者の自己満足に終わらせず、常に患者が何を望んでいるかに応えることを目指している。

噛みしめ症候群の基本的な原因は、誕生からの生育にあると考え、子供たちのための新しい歯科治療としての食育・口腔育成の研究会を主宰し、全国の歯科医療関係者に対する教育・啓発活動に参加。独自に開発したマウスピース型の姿勢矯正装置(口腔育成装置)を用いた治療を全国の歯医者さんにも広げる活動も展開。

【著作】  歯医者が書いた歯医者に行かなくてすむ本 (すばる舎)

その歯の痛み、8割は削らなくても治ります! (内外出版社)