花粉皮膚炎の症状と対策法
今や国民病とも言われている「花粉症」。
花粉症の症状は、鼻水や鼻詰まり、目のかゆみなどが代表的でよく知られていますが、実は肌荒れによる肌の赤みやかゆみといった症状もそのひとつです。日本では、春のスギ花粉をはじめ、夏のイネ科花粉、秋のブタクサ花粉と様々な花粉が飛散していますが、中でも春のスギ花粉の飛散量は多く、お肌にも影響が及びやすいです。
花粉症の症状は辛いだけでなく、お肌がピリピリしたり赤くなると、メイクやスキンケアが沁みてしまうこともあります。花粉症の時期は、敏感になったお肌を労りながらスキンケアやメイクを行うことが重要です。
■花粉皮膚炎とは?
花粉が皮膚に接触することによって生じる皮膚炎は「花粉皮膚炎」と呼ばれています。花粉皮膚炎は春先に生じ、他の季節には生じないことが特徴です。境界のはっきりした赤みの強い、少し盛り上がった湿疹の症状がでます。
■花粉皮膚炎の症状
肌の乾燥、ほのかな赤み、チリチリとしたかゆみが主な症状。ジクジクしたような重い症状はなく、上まぶた、頬、あご、首など、露出が多い部分に乾燥や赤み、かゆみなどの症状が現れます。特に敏感肌・乾燥肌の人が発症しやすいと言われています。鼻水や涙を拭くことで、皮膚の水分や油分がうばわれます。物理的刺激により皮がむけた状態になりやすく、ちょっとした刺激にもひりひり感を覚えるようになります。
乾燥肌の人は肌表面のキメの乱れや角層のめくれあがりなどが起こっており、 外からの刺激を受けやすくなっている状態なので、花粉皮膚炎にかかりやすくなっています。敏感肌の人は、お肌のバリア機能が低下している為、少しの刺激で肌トラブルに繋がります。普段敏感肌でない人も、乾燥の厳しい冬を過ごした春先の肌はデリケートな状態になので、注意が必要です。
■花粉の多い時間帯・天候
早朝に飛散しはじめた花粉は、午前中に郊外、住宅地、都市部へと飛散します。昼頃まで高いまま維持されますが、午後いったん落ち着きます。ただ、夕方の気温の低下による空気の対流で、上空の花粉が地上に落ちたり、落ちていた花粉が再び舞い上がったりして、日没前後に再び多くなることがあります。花粉の飛び交う時間は出勤時間やお昼休み、お仕事帰りに直撃していますので注意が必要です。
天候的には「最高気温が高い日」「湿度が低い日」「雨の日の翌日」などは、通常の日よりも飛散量が多くなると言われています。洗濯物は部屋干しに替えたり、服装・メガネ・マスク・内服薬などの対策で備えは万全にしましょう。
■花粉皮膚炎の予防と対策
花粉から肌を守るための方法を知って、快適に過ごしましょう!大切な対策としては「化粧をすぐに落とすこと」「保湿ケアをしっかりすること」「生活習慣を見直すこと」の3点が挙げられます。
①花粉を肌に付着させない
最も重要なことは、花粉を肌に触れさせないことです。外から帰宅したら肌に付いた花粉を洗い流しましょう。外出中もできるだけ花粉が肌に触れないように、露出しているお顔の部分はサングラスやメガネ、マスクを着用するようにして肌を覆うと効果的です。
帰宅時には玄関前でブラシなどで服に付着した花粉を落として、室内に持ち込まないようにしましょう。また、花粉は髪の毛にもつきやすいので、まとめ髪にしたり帽子を被るようにしてください。
②バリア機能を低下させない
肌のバリア機能が低下すると、少しの刺激にも反応する敏感肌の状態になり、かゆみやヒリヒリ感といった肌トラブルが起きやすくなります。日頃から朝晩、しっかりとした保湿を心がけて、お肌の状態を良好に保ちましょう。
特に症状の出やすい、目やお鼻の周りは皮膚が薄く、乾燥しがちなので、クリームやシートパックを使って念入りに保湿してください。化粧水が沁みてヒリヒリしてしまう方は、敏感肌用の化粧水に変えるか、刺激が少ないクリームだけの保湿がオススメです。
③自己免疫力を維持させる
バランスの良い食事を心がけることは花粉症にとっても効果が期待できます。偏った食事を続けているとホルモンバランスが乱れてしまい、肌荒れにも影響するからです。花粉症にはレンコンやゴボウなどの根菜が効果的だと言われています。他にも、青魚・緑黄色野菜が花粉症の緩和につながると言われています。また、暴飲暴食・睡眠不足・深酒・喫煙などは体調を崩すもとなので控えるようにし、心身の健康を保つように心がけましょう。
■花粉の時期のスキンケア・メイク
①洗顔
帰宅したら、花粉を落とすためにすぐに洗顔をしましょう。花粉を落とそうと思って肌を擦ったりゴシゴシ洗ったりすると、バリア機能が低下しているお肌はダメージを受けてしまいます。
お肌がデリケートになっている時は、低刺激の洗顔料・クレンジングを使って余分な皮脂や汚れをやさしく洗い流しましょう。ミルクタイプやクリームタイプのものがお肌にやさしい使用感です。肌にとって、必要な保湿成分まで失われないように、ぬるめのお湯で洗い流し、洗顔後は、乾燥を防ぐため、すみやかに保湿をしましょう。
にきび肌の方は、花粉の刺激により炎症が悪化する場合があるので、にきびケアの洗顔料を使用するのがオススメです。また、外出先でも化粧直しの際に、乳液をコットンに含ませお肌についた花粉をやさしく拭き取ると症状がやわらぎます。
②保湿
花粉症により、お肌が不安定な時は洗顔後すぐに化粧水や保湿クリームなどで、しっかり保湿をしましょう。スキンケアは敏感肌用のものにして、使うアイテムは数を減らしてシンプルなケアをして下さい。乳液・クリームは手に取って手のひら全体に伸ばし温めてからお肌になじませると、摩擦の刺激を抑えられます。化粧水が沁みる場合は、油分を含むオールインワンやクリームなどで保湿を行い、お肌を休ませてあげてください。
③日焼け止め
紫外線は花粉の症状がみられる2~4月も含め、年間を通して降り注いでいます。低刺激・敏感肌用のものや、保湿効果が高く乾燥も防いでくれる日焼け止めがありますのでそちらを使用してみてはいかがでしょうか。メイクをしない日は、日焼け止めで仕上げるとお肌がべたついて、花粉がつきやすくなりますので必ずフェイスパウダーを使用してお肌をさらさらに保ちましょう。
④メイク
お肌に負担のかからない低刺激の製品を選びましょう。ファンデーションをブラシで塗布されている方は、こすらないように気を付けてください。また、スポンジで塗布するのもおすすめです。ベースメイクは厚塗りするとお肌への負担となってしまいます。BBクリームやCCクリームだけに切り替えて、お肌を労わったメイクを心がけてください。
花粉の時期、特に注意していただきたいのはアイメイクです。アイメイクはできるだけにシンプルにしましょう。アイシャドウの粉が目の中に入り込むと、目のかゆみが悪化してしまう場合があります。
■花粉皮膚炎の検査方法
花粉症皮膚炎かどうかは、アレルギー検査をするとはっきりします。通常の花粉症は血液検査で原因を調べますが、花粉症皮膚炎の場合は、スクラッチテストのほうが確実です。スクラッチテストとは、皮膚を細い針先でこすって微細な傷をつけて、花粉の試薬をつけて反応が出るかを確認する検査方法です。アレルギーを専門的に扱う耳鼻科か皮膚科、内科などで検査を受けることができるので、症状がある方は病院のHPなどで確認するか、問い合わせてみてはいかがでしょう。
生活習慣やスキンケアの面から肌荒れ対策についてご紹介いたしました。花粉症による肌荒れは、あらゆる面から改善していく必要があります。地道に続けていけば、必ず効果が出てきますので、毎日のケアを気を付けてみてください。