Take A Deep Breath(深呼吸)~私が向かうところ
春から初夏へ向かうこの季節は、気持ちの上でも1年のうちで最もすがすがしい。ようやく上着を脱いで、シャツ1枚に風が通っていくのが、なんとも心地よい上に、新年度から新しく始めたことなども、なんとなくほっと一段落したりして…。
年度初めは何かとバタバタ。私の4月も、それはそれはびっくりするくらい、あっという間に過ぎていきました。月がかわってようやく落ち着いて、みなさんも、さあ!これから、という気持ちになっていらっしゃるのではないでしょうか。
はじめまして。株式会社ロージィミュージック代表の藤田理恵です。
株式会社ロージィミュージックは、主に音楽教室の運営、音楽に関わる各種セミナー、講演、コンサートを企画する会社です。
私自身は、シンガーであり、音楽教育家(ミュージックエデュケーター)として、ボイストレーニングとボーカルの指導、話し方の指導、ピアノや弾き歌いも教えて、大学で音楽教育について教鞭をとり、音楽を指導する先生方の研修を行って、子どもたちの合唱を指導して…もちろん、経営者として会社を運営し、研修やライブ、コンサートを企画、はたまた、司会者として演奏会等のMCをし、就職などの面接の指導をし…他にもあったかな?
そんな私の日々のファッションといえば、基本ジーンズにシャツ、スニーカー。変わって今日はビシっとスーツ。今日は可愛い目のふんわりスカート、今日はお呼ばれワンピース、夜はドレス、今日は今日は…と日々違ったテイストの出で立ちで、服装から社員や生徒さんに「あ、今日は大学ですか?」なんて判断されている毎日!
午前中はこれ、午後はこれ、夜は…と、一日のうちでもいくつかの種類の仕事をやらせて頂いているので、こうして書き出してみると、自身のことながら、ちょっと驚きますね。そうだったのか!と。でも、自分としては、わりと自然に、主に音楽を通して、自分のできることで誰かのお役に立てられればと行動してきた、その結果なのです。
ロージィミュージックを起業する前は、学校教師(公務員)をしていました。
大学卒業後、小中学校教師を10年。
そしてこの春、ロージィミュージックスクールを開業して10年が経ちました。
10年、プラス10年。なあんて、ひとことで言っちゃってますが、20代から30代、30代から40代。実にいろいろなことがありました。
でも、女の10年は、あっという間です。
さて、このように、あれもこれもとたくさんの種類の仕事をして、様々な顔があるように見える私ですが、自分の中では、1本の太い道があって、そこから全く外れることなく、ここまで生きてきました。
自分はその道をきた、という思い。そうすることで積み上がってきた自信。
これらが確信的なのは、あるエピソードから直感したことによります。
そのエピソードとは、三河湾沖での船頭さんとの会話。会話の中で感じたことは、私自身が、これまで生きていく上で支えになってきました。
20代は、なんとなくそうかもしれないと信じて進みました。30代は、きっとそうなのだろう、と感じながら進み、40代。人生も半分ぐらいきまして、ようやく確信になっていった。そんなエピソード。
そのエピソードを、ここでご紹介したいと思います。
長かった学生生活の、最後の初夏のこと。釣りをするもよし、ぼーっとするもよし。とにかく、船に揺られましょう、という、人生の先輩方との休日でした。
よく晴れて、波は穏やか。絶好の航海日和。
深い呼吸で潮風を吸い込みながら、キラキラ光る水面を眺めるだけで、心も身体もゆったりと癒されていきます。
友達とデッキでのんびりおしゃべりをして居りましたら、「ちょっと舵をとってみますか?」と、船頭さんが声をかけてくださいました。
もちろん、初めての経験ですから、喜んで。しかし恐る恐る、舳先を見ながら舵を強く握りしめていました。すると、船頭さんが笑ってこうおっしゃるのです。
「見てごらん、ほら、後ろ!」
「まっすぐ進んでいると思ったかな?かなり蛇行しているよ。」
船尾を見ると、船の通った白い泡の航跡が、グネグネと見事に蛇行していました。びっくりしました。全くもって、蛇行したつもりはありませんから。
「しっかり舵を握っていたのに、おかしいです!」
思わず口にした私に、船頭さんがおっしゃいました。
「あなた、船の舳先やすぐ脇を見ていたでしょう?船の舵をとるときはね、進む先の、ほら、例えば遠くに見えるあの島。あれを見ているとまっすぐ進むものなんだよ。」
言われた通りに、なんとなくあっち、と、遠くの島を見て舵を握り、しばらくして振り返ってみると、本当に白い航跡がまっすぐに伸びているではありませんか!
しっかり握っていることよりも、視線。
どこを見ているかで、まっすぐ進んだり、蛇行したりするのだなんて。初めて知りました。
「目の前のことよりも、どこへ向かうのか。遠くの行先を見て進むと、まっすぐ行けるっちゅーわけやな」
船頭さんは、当たり前のことだと笑っておっしゃいましたが、これはなんとも深い!
遠くの行き先、つまり、こうなりたい、こういう自分でありたい、という思いを持って、なんとなくでもいいから、自分の向かうところ、その方向を見つめる。途中で、大きな波や小さな波、強い風が船を揺らしたりするかもしれない。魚が飛び跳ねて、気が散ってしまうかもしれない。そんなときでも、しっかり舵を握って、遠く自分の向かうところを見るようにする。目先で起こることに集中し過ぎず、その先の目標へ思いを寄せる。
そうすると、私が願う私へと、おおよそまっすぐに行けるのではないか。
つらいことがあったときこそ、前を見る。これが「乗り越えるコツ」なのかもしれない、ということも直感しました。
途中、苦しかったり迷ったりは、つきもの。それをなんとかしながら乗り越えて、前へ進んでいるのであれば、そのうちに、対処の仕方やコツがわかってくる。
さらに、こんな風にも思いました。
こうして進んでいても、もしかしたら、行先を大幅に変更するときがくるかもしれない。そんなときは、これまでしっかり舵をとってきた経験から、別の目標へと舵をきり、方向転換する力も身についているのだろうと。
深呼吸した海の空気とともに、心と身体に浸透して、それらは生きていく上での、私の基本的な考え方になりました。
この話は、学校教師のときには、進路指導などの場面で子どもたちに伝え、その後も人生の岐路や、壁にぶつかって迷っている人には、例えとして挙げて、励ましてきました。
卒業生に会うと、「船頭さんの話、ずっと覚えています」と言ってくれる子が何人かいます。彼ら彼女らもまた、心の支えになっているようです。
人は、幾度となく「どのように進むか」選択に迫られる時がやってきます。これは過ぎてみないと、自分が選んだ道が正しかったかどうか、わからないものです。いや、過ぎてきた今も、それが正しかったかどうか、わからないこともあります。
選択や決断をするというのは、自分の中の大小に関わらず、どれも勇気の要ること。迷いや間違いで視線が移ろいでゆくかもしれません。
だけど、もっと先にある、「私が向かうところ」
人生を語るには、まだちょっと早い私ですが、充実感のある人生は、遠くの「向かうところ」を見ながら、進んでいくところにあるのではないかと思うのです。
私の場合、実際には、途中でだいぶ足元に気を取られ、とにかくびっくりするくらい蛇行しまくり!船が転覆するんじゃないかってこともありました。そんなときも、でもその方向には進んでいる、と思えたことに、間違いなく支えられてきました。これ、ほんとに。…とは言いましても。
だいたいでいいから。その方向に進んでいる、進んできた、という、ワクワクや自信が、私のハッピーになる。ひょっとしたら、蛇行しているかもしれないけど、そっちに進んでいるからハッピー!っていう具合にね。
「音楽で人を育てること」
「音楽で人々が心豊かに満たされること」
これが私の向かうところ。これからも見つめながら人生を進んでいきたい。
なぜか、って? 答えは一つ。そうしたら、ハッピーだから。
みなさんの「向かうところ」は、どちらですか?
藤田 理恵
株式会社ロージィミュージックhttp://www.rosymusic.com
ブログ:RIEの’音楽な’生活 http://ameblo.jp/rosebud-rie
プロフィール
藤田理恵 Rosebud RIE
singer/music educator/voice trainer
幼少の頃から学んだクラシックを根底に、ブルース、R&B、ソウル、ポップス、ロック、歌謡曲、童謡他、様々なジャンルを幅広く歌いこなすシンガー。子どもも大人も音楽で生き生きと満たされる豊かな社会づくりのために起業、株式会社ロージィミュージックを設立。「学びの好循環~Good Cycle Of Learning®」を提唱。ボイストレーナー・ボーカル指導者として、全国の主にブルースソウルシンガーの指導に定評あり。声に関わる研究、各種楽器等のレッスンやセミナー・演奏の企画他、職業人・子ども達・音痴等、声に悩める人々の指導、音楽指導者の研修、歌うとき、ビジネスや生活の中で「伝えて伝わる声力」のセミナー、講演を行いながら、ステージシンガーとして活躍。R&BバンドRosebud、10人編成ブルースバンドRosebud RIE & Her Blues Machinehead、ブルースバンドRosebud RIE & Blues Blood、ギターボーカルデュオsasarie他、アーティストのゲストシンガー等、名古屋を中心に東京、関西、九州、北海道他、全国でライブ公演を行っている。
株式会社ロージィミュージック代表