課題と解決
化粧品における不純物や規制成分のリスク管理

基本的な管理
化粧品に含まれる可能性のある不純物や規制成分は、原料の品質や製造工程によって異なりますが、一般的に以下のようなものが考えられます:
重金属(鉛、カドミウム、ヒ素、水銀など)
残留溶媒(ベンゼン、トルエン、ホルムアルデヒドなど)
医薬品成分(エストラジオール、ジフェンヒドラミン等)
これらの一部は薬機法に基づく化粧品基準にて配合禁止または配合制限となっています。
日本で化粧品を市販するには事前に都道府県 に化粧品製造販売届書を提出する必要があるのですが、その際に製造販売業許可業者が安全性を担保するという前提になっているので事前にしっかりとした安全性及び規制対応の確認が必要です。
製造販売会社は出荷に際しては製品の規格及び試験方法に基づいて個々のロットを評価し化粧品基準で規定されている代表的な不純物や規制成分は含まれていないこと又は限度値内であることが確認する必要があります。
輸入化粧品
輸入化粧品の場合はさらに注意が必要です。なぜなら国によって有害物質の管理基準が異なるからです。
例えば日本では配合禁止であるメタノールが韓国では2000ppmまで許容されていますし、EUでは日本の化粧品基準に匹敵する規制はありますが、製品そのものを検査して確認する習慣はないようですので日本の観点では漏れがある場合があります。製造元で試験していても気になる成分に関しては日本で確認を行う必要があります。
化粧品基準で規定されていなかった成分による健康被害
加水分解小麦末
保湿を目的として配合されている場合がありますが、顔のかゆみや全身性アレルギーが生じることがあります。平成22年には加水分解小麦末を含有する「茶のしずく石鹸」が多数のアレルギー発症のために自主回収に至った例があります。加水分解小麦末は禁止されているわけではありませんが、以下の事項を表示する必要があります。
1)本製品に小麦由来成分が含まれている旨
2)使用中に異常があった場合は使用を控える旨
ロドデノール
ロドデノールは美白を目的とした成分ですが、使用後に白斑(肌がまだらに白くなった状態)になったとの報告が多数あったことから自主回収に至りました。
トリクロサン等
平成28年に米国食品医薬品局(FDA)が、トリクロサン等 19 成分を含有する抗菌石けんを米国において1年以内に販売を停止する旨を発表しました。 日本化粧品工業連合会及び日本石鹸洗剤工業会は、薬用石けんにつき、これらの成分を含有しない製品への切替えるよう会員会社に要請しました。厚生労働省も、この取組みを促す通知を出しています。
FDAが19成分を含む製品を販売禁止にした理由は、下の3つです。
・普通の石けんより「感染症の予防効果が高い」証拠がない
・長期使用における安全性が検証されていない
・長期使用によって耐性菌ができる可能性がある
鉛
鉛は重金属の一種で医薬部外品原料規格では個別成分の重金属総量として通常20ppmが規定されています。(10ppmの成分もあります。)化粧品規制協力国際会議(ICCR)は カナダ、欧州連合、日本及び米国の化粧品規制当局からなる国際的グループですが、化粧品製品中の鉛の濃度を10ppmとするように推奨しています。強制ではありませんができるだけ従うべきと考えられます。
弊社における管理
弊社では独自のデータベースに成分情報を集積し、化粧品基準、各種通知、国際的な動向の内容も含めています。導入時の処方の判定、および個別のロットの出荷判定にこれらの情報を利用し、品質に問題のない製品を提供できるようにしています。
アインズラボでは、データベースに集積した情報等を活用し分析試験のご提案なども承っております。品質管理等についてお悩みの際は、まずはお気軽にご相談いただければと思います。