2020年春夏のメイクトレンド byメイクセラピスト みきしほ先生
メイクセラピストとしてメイクが持つ心のパワーを多くの方に伝え、気持ちが豊かになるお仕事をされているみきしほ先生に、今年の春夏のメイクのトレンドについてお話をお伺いしました。さらにトレンドを活かして中高年が美しく輝くメイク術もご教授いただきました。今年の春夏をより若々しく活きるために、メイクで身も心もポジティブになりましょう!
■今年の春夏はアイメイクがポイント
皆様もご存じのように、ここ3年程はくっきりと赤いリップで仕上げるリップ重視のメイクが主流でした。ところが2020年の春夏のパリコレクションでは、唇・リップから目・アイに重点が移りつつあります。極端な表現をすれば1970年代のメイクに戻った感じです。昭和の全盛期に流行ったブルーのアイシャドウが復活の傾向にあります。一方でリップは華やかで濃い色から、少しトーンを抑えた色への変化が見られ、ベージュやチョコレートブラウンが目立ちました。
メイクはその人が最初にした時代のものを引きずると言いますが、昭和に青春時代を過ごされたシニア世代にはブルーのアイシャドウの復活は嬉しいニュースかもしれませんね。ですが今は令和です。今回は昭和のエッセンスを取り入れつつも、さらに進化した令和のメイクをご紹介したいと思います。
■トレンドはコントアーメイク
今年の傾向は立体的なコントアーメイクです。すでにハリウッドの女優やセレブの間では流行していますので、メイクに敏感な方はご存じかもしれませんね。
contour(コントアー)とは日本語に訳すと輪郭という意味です。 コントアーメイクとは、シャドウやハイライトを使ってお顔に陰影をつけ、彫刻のような理想の輪郭に仕上げるメイクアップ方法です。高い処は高く、低い処は低くメリハリをつけてお顔の立体感を強調するため、平面的なお顔の日本人にこそ取り入れたいメイク術です。キリっと締まった小顔に見せることにもなりますので、シニアの方は是非、このメイクに挑戦していただきたいです!
■お肌の老化防止に日焼け止めは必須
それではベース作りから手順を追ってお話していきましょう。
素肌に最初に塗るのは日焼け止めクリームです。紫外線がいかにお肌を老化させるのかは言うまでもありませんね。まずは化粧下地として日焼け止めクリームを塗ってください。海や山等、紫外線の強い場所で過ごす場合は強力な日焼け止めが必要ですが、普段、街中での生活でしたらSPFは30位で問題ないと思います。
次にファンデーションをお顔全体に薄く延ばします。くれぐれもベタッとした厚塗りは避けてください。シミが目立つ部分は重ね塗りをしても構いませんが、シミを全部隠そうと厚く塗る必要はありません。シミはもう少し隠したいな…というところで止めましょう。腹八分目の方が良いです。隠しすぎると厚さで却って目立ち、老け見えにもつながります。シニア世代は透明感のあるナチュラルな肌感がお勧めです。
■まずはシャドウで立体感を創る
ココからがお顔に立体感を創るメイクです。
コントアーメイクでは先に濃いブラウンのクリームタイプのシャドウでお顔に陰影をつけます。
シャドウは太いラインのように、左右対称に入れます。
入れ終わるとフェイスブラシで上下にぼかします。その際、ラインを消してしまうのではなく、少し残すようにしてください。
シャドウを入れるのは下記の4ヶ所です。
- 頬⇒ 耳から口角に向けて引きます。
- 顎(アゴ)の側面⇒ メイクは正面から見える部分だけでなく、顎の裏側(側面)もお顔と考えください。この部分に影をつけることはお顔を額縁で締めることになります。
- お鼻の側面 ⇒お鼻の高い方も必ずシャドウを入れてください。
- おデコの生え際⇒ 髪の生え際へと流すようにぼかしてください。
尚、前髪をおろしておられる方もおデコのシャドウは必要です。そうすることによりお顔の立体感が強調されます。
■ハイライトでより立体感を強調
シャドウの後にハイライトを入れます。歳をとるとお顔の造作が下がる傾向にありますので、基本は上に上に…です。シャドウ同様に線を残しつつ軽くぼかすように仕上げてください。
ハイライトを入れるのは下記の4ヶ所です。
- 目元⇒ 黒目の下の部分からこめかみの生え際にかけて入れます。
- おデコ⇒ 左右の眉の間から上にかけて扇状に入れます。
- 下唇⇒ 左右に口角を上げるように入れます。
- 鼻筋⇒ 鼻筋はお鼻のてっぺんより少し手前で止めてください。てっぺんまで引くと鷲鼻に見えることがありますので注意しましょう。
ハイライトを入れ終えた後、シミが目立って気になる部分は、コンシーラーを用いてください。ポイントに使うのでペンシルタイプがお勧めです。前述しましたように、あまり厚ぼったくなると却ってマイナス効果です。私は少しシミが浮いていても問題ないと思います。そのほうが自然に見えます。
■お肌の仕上げはパウダー
昨今、メイクアップアーティストの中にはパウダーを用いない方もいらっしゃいますが、私は最後にお顔全体に透明なパウダーをはたくようにしています。ファンデーションはゆるい粘土とお考えください。それを固定して一日中、美しいお肌を保つには、やはりパウダーが必要です。仕上げはフェイスブラシで余分なお粉を落とします。その場合、お顔のうぶ毛の上から下へとブラシを使ってください。こうすることでお顔のマッサージの役目も果たし、血色の良い顔色に仕上がります。
お顔の土台作りにはフェイスブラシを多く用いますが、メイクに用いる道具はできれば質の良いものを使ってください。天然毛のブラシは少々お値段は高いですが、お肌への影響やメイクの仕上がりを考えると、良い投資だと思います。
■お顔の印象を決める眉毛
ここからは各部位のメイクです。まずは眉毛を描きます。
眉毛は第一印象に影響を与える大切な部位です。アイメイクやリップと同様に眉毛にもトレンドがあります。昭和の時代は柳のような細い眉が流行ったこともありました。近年も眉山を強調する眉毛が流行っていました。そして令和最初のトレンドは目と平行な眉です。少し太めで自然な感じに仕上げます。
眉の色は・内側は薄く・外側は濃く、が基本です。アイブローペンシルで眉頭から外に向けて描いていきましょう。眉尻の位置は小鼻と目じりをつないだ延長戦上を目安にしてください。
ラインを引いた後にアイブローシャドウで仕上げていきます。眉頭は明るいオレンジ色でぼかします。眉尻は濃い色できちんと止めます。眉毛が多い方は眉マスカラで毛並みを整えるのも良いでしょう。
■トレンドを取り入れたブルーのシャドウのアイメイク
さてココからが今年のトレンドのブルーを用いたアイメイクです。昭和の時代のように濃いブルーを瞼にベタッと塗るわけではありません。濃淡を使い分け、目にも立体感を出します。
・瞼のベースには全体に薄いピンクをフワッと塗りましょう。暖色を使うことで柔らかい印象になります。
・次に瞼の上半分に薄いブルーを塗ります。
・その後に、下半分の瞼に濃いブルーを入れます。
・目の下に入れるハイライトは、瞼のベース同様に薄いピンクにします。
・目の輪郭を際立たせるアイラインはブルーのトーンでまとめ、紺色を用いましょう。
・仕上げとしてリキッドアイライナーでまつ毛の間を埋めるようにします。こうすることでアイメイクが締まります。
リキッドアイライナーにもタイプがありますが、私は描きやすい筆タイプのものを使っています。色は薄い黒を用いることをお勧めしています。シニアの方には濃い黒を用いるよりも上品に仕上がります。
加齢とともに気になるのが目の下のタルミやクマですね。そちらをカバーするには瞼のベースに使った薄いピンクを目頭の少し下のクマのできやすい部分に入れましょう。
最後に白いハイライトを目頭にポイントとしてチョンと置きます。こうすることにより白いハイライトが目の輝きを手伝うスポットライトの役割を果たします。
アイメイクの最後はマスカラです。昭和の時代はマスカラこそがアイメイクの命のように言われた時期がありましたが、今はそこまでマスカラ一辺倒ではありません。もちろん目を大きく見せるには必要です。
ご自身に合ったタイプのものを用いてください。まつ毛が短い方は長く見せるロングタイプのものを、まつ毛の長い方はボリュームアップが図れるものが良いでしょう。マスカラを上睫毛にしか使わない人もいらっしゃいますが、上下に必ず使ってくださいね。
■シニア世代はチークでエレガントに
シニア世代はあまりチークを使わない方も多いように感じますが、私はチークは使うべきと考えます。特にピンク系のチークはエレガントなイメージを醸しだすのでお勧めしています。チークパウダーは中から外ではなく、外から内側に引きます。具体的に言いますと、こめかみの髪の生え際から頬に向けて、一番高い位置で止めるようにします。
チークの上にピンクのハイライトを入れ、さらには裏ワザとして、ベージュ系のシャドウを黒目の下の部分から縦に頬の一番高い位置まで細く入れます。瞳から涙が流れることをイメージしていただければ分かりやすいと思います。こうすることにより頬にもより立体感が生まれます!
チークではありませんが、もう一つ立体感とお顔をリフトアップさせる裏ワザを教えしましょう。それは唇の口角の下に短く左右対称にハイライトを入れることです。加齢とともに口元は下がりがちで、老け見えになりますので、ハイライトの力をかりて口角をアップさせ、若々しく見えるようにします。
■仕上げはリップ
つい最近までは最後に濃い赤いリップでメイクを仕上げましたが、今年のトレンドは最初に書きましたようにアイメイクが重視です。ブルーのシャドウで華やかに仕上げた目に唇までが真っ赤だと、派手な舞台メイクになりかねません。控えめな色のリップで仕上げましょう。そのほうがよりアイメイクが生きてきます。
唇をいたわるためにも下地としてリップクリームは必ず塗ってください。アイメイクとのバランスを考えてスティックタイプの口紅でくっきりと目立たせるのではなく、透明感のあるリップグロスで自然な感じに仕上げます。カジュアルなイメージにしたい時は薄いピンク系を用いましょう。上品で落ち着いたイメージでまとめたい時はベージュ系がお勧めです。リップライナーは用いませんので、上唇はほんの少しオーバー目に描きましょう。
※余談になりますが、リップグロスはとれやすいので、持ち歩いてお化粧直しを忘れずにしていただきたいです。
最後にメイク以外にお肌やアンチエイジングに良い情報として、シニア世代のスキンケアとフェイスエクササイズのお話を付け加えておきます。
■スキンケアのアドバイス
綺麗にメイクが仕上げるために一番大切なものは、やはりみずみずしい素肌です。お肌の大敵は紫外線と乾燥です。紫外線につきましてはメイクのお話にも触れましたので、ここでは乾燥対策、保湿について述べておきます。
近年はエアコンの影響もあり年中、室内は乾燥しがちですので、保湿ケアは重要課題です。保湿に特化した多くのスキンケア商品が販売されていますが、化粧水はアミノ酸系のものを、美容液はプロテイン配合のものをお勧めしたいです。お肌はタンパク質で作られていますので、そちらを補う成分が入ったものが良いとの考えからです。
また、お肌は心と密接につながっていますので、精神的に心地良い状態を保つことが大切です。現代人にはなかなか難しいことかもしれませんが、私はアロマの効果やヨガをとり入れて、リラックスを図っています。皆様もご自身にあった対策を見つけて、なるべくストレスが少ない生活を心がけていただければと思います。
■フェイスアップのエクササイズ
私が取り組んでいるフェイスアップの方法をお話しましょう。
まずは年齢が目立つ首筋のマッサージ。下から上へと持ち上げる方法を思い浮かべる方が多いと思いますが、私は上から下でOKだと考えています。耳の下から鎖骨にかけてやさしくリンパ液を流す感じです。リンパの流れを良くすることで代謝がアップしてお肌の調子も整います。
もう一つお勧めしたいのが耳から顎へのラインを引き締めるフェイスアップエクササイズです。下顎を突き出し、「イー」と発声します。鏡を見ながらすると自分の顔に笑ってしまいますが、これを毎日30回すると顎のラインが引き締まり、両顎が垂れ下がるブルドッグ顔の予防になります。私はお風呂に入りながら、このフェイスアップエクササイズをするようにしています。
以上、今年のメイクトレンドに始まり、シニア世代の方に知っていただきたいフェイスアップの方法まで多岐に渡ってお話をしました。欲張ってたくさん述べましたが、その中で1つでも皆さまの心に残るものがあれば、是非、トライしてみてください。私はシニア世代こそ、ポジティブに美の追求をして欲しいと望んでいます。これからの人生を活き活きと過ごすためにも、美しさへの探求心は持ち続けていただきたいです!
みきしほ先生
芦屋隠れ家サロンshin.shin オーナー
オンラインショップサントル*SHOP Centre オーナー
一般社団法人日本アピアランスセラピー協会 代表理事
※コラムのモデルさんに用いたメイクアップ商品をお知りになりたい方は
先生のホームページよりお問合せください。