私の住むサレルノ（イタリア・カンパーニァ州・サレルノ県）は、日本でもここ数年一躍人気都市に名乗りを上げたアマルフィ海岸の玄関口になる街であります。

なぜ私がこの街に引き寄せられたかというと、かれこれ１２年前に遡ります。

人生の行き先をモヤモヤと思索していたあの頃、仕事で南イタリアを訪れる機会があったのです。

決して若いとは言えない年齢にさしかかっていた私ではございますが、この旅の途中で出会ったアマルフィ海岸がその先の人生を１８０℃変えてしまったのです。

今思えば、直感！！いや、端なる思い込みの激しい性格がドが過ぎたのかもしれませんが・・・

通常サレルノからアマルフィまでは、海岸沿いをひたすら走る車での移動がほとんどであります。

が、１２年前の私は、青の洞窟で有名なカプリ島への移動手段としてサレルノからフェリーを利用したのです。

その時の紺碧の海の上から見た海岸絶景！自然のコントラスト。

アマルフィ海岸線に点在する小さな街々。そして、断崖絶壁に切り立つ黄金色のレモン畑の景観を目にした時、「あなたは、ここに住まなくちゃ！」と、天の声を聞いたのですね。

そして嘘のような話ですが、今私ここサレルノに住んでます。今年で在住１１年目になります。

さて、私の運命を変えたこの黄金色のレモンとは・・・

イタリア語でリモーネ　コスタ　ダ　アマルフィ（Limone　CostaD’amalfi）。
1000年以上も前からレモン栽培を行ってきたというアマルフィ産のレモンのことを言います。この伝統的なアマルフィ産のレモンは、通常のレモンの３倍くらいの大きさになることでも有名です。ただその大きさだけではなく、皮の部分が肉厚で酸味や苦味も少なく、完熟すると甘くなるという優れものなのです。

そのクオリティの高さから、特徴的なその皮の部分を利用した食べ物に重宝されております。

イタリア国内でもシチリア、ソレントなど他にも沢山のレモンの産地はございますが、アマルフィレモンの栽培家が品質改善を続けてきた努力の結晶の賜物のためコストも割高です。

日常、スーパーで見かける割安のレモンは、スペイン産がほとんど。。

が、やはり美食家のイタリア人！自分の口の中に入れるものには、相当な拘りがございますので、もちろんレモンの産地には、相当な拘りを見せます。

さて、ここでレモンの驚くべき美容、ダイエット、病気予防の効果についてまとめてみました。

■レモンに含まれる栄養素と効果

皆が知ってるビタミンＣ
・メラニン色素の生成を防ぐ
・美肌効果
・喉の痛みを軽減

レモンの皮に含まれるレモンポリフェノール
・抗酸化、抗菌作用
・脂肪吸収を抑える働き
・アンチエイジング効果

クエン酸（レモン汁の酸味成分）
・新陳代謝ＵＰ
・疲労回復、疲れの予防
・血液をサラサラにして流れを良くする
・動脈硬化、高血圧予防
・腎臓機能を改善し、腎臓結石予防

と、レモンは、美健康保持のためには欠かせない食べ物なんですね。

イタリア人がこの効能を全て熟知しているか？はさておき、「イタリアでレモンを見ない日はない！」と断言できるくらいイタリアの家庭には、レモンは常時ございます。

料理としては、生のままサラダに。あと魚料理の際には、レモンが生臭みを消す作用があるので調味料として至極当然。もちろん、パスタやリゾットにも利用されます。

そして皆が大好きドルチェ（甘いお菓子）では、有名な伝統菓子　デリツィア　アル　リモーネ（Delizia　al　Limone）日本語で「レモンが与える歓び」。

半ドーム状に型どられたスポンジの中には、レモンの程よい酸味と甘みの効いたクリームがたっぷり。表面にも、またレモン風味のクリームが覆われていて、その魅惑的ネーミングにぴったりのお菓子です。

そして忘れてはいけない美容効果ばっちりのお酒リモンチェッロ（Limoncello）。
日本でいう梅酒のような存在で、南イタリアのマンマの味（母の味）として昔から親しまれている食後酒です。

もともとアマルフィ海岸などの地域を中心に作られてきたこのお酒は、庭に生えていたレモンを使って作られていたのです。今では、イタリアでもメーカものがほとんどですが、知り合いのノンナ（おばあちゃん）エリザベータは、今でも自分の庭のレモンを使って美味しいリモンチェッロを作り、皆に振舞います。こういった手作りに物凄い美学を持つイタリア女性に、私は毎回驚かされ学ぶことも沢山あります。

さて、そんなイタリア人女性が家族の健康保持を願い、皆を笑顔にするために毎日家庭料理で愛用するレモン。

毎日、肌ツヤツヤでそれは陽気で時に寂しがりやのイタリア人のあの人間らしい元気の源は、やっぱりレモン？とも思えてきますね。